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四字熟語がお好きなの? 

2017年01月28日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

男は、盗んだトラックを乗り回し、やがて警察に発見され、追われた。
パトカーが、先回りをし、行方をふさいだが、これにめげない。
トラックを体当たりさせ、その重量差を利して、
パトカーを押しのけ、さらに逃走を図った。

その一部始終が、住民のカメラに映されており、
やがて、テレビに放映された。
便利な時代だ。
今や、誰しも携帯を持っている。
そして、動画を、撮影することが出来る。
何か起きれば、たちまち、写される。
そして、それを、公開されてしまう。
悪いことは出来ない。

逮捕された男が、供述したそうだ。
「一心不乱に逃げました」
これを見て、思わず笑ってしまった。

男には、軽度の知的障害があるらしい。
と新聞は報じていたが、果たして、どうなのであろう。
「一心不乱」なんて言葉、咄嗟の時に、
凡人の口から、ひょいと出るであろうか。

但し、用法としては、適切でない。
ことは悪事である。
そこに「心」は馴染まない。
そして「不乱」もおかしい。
やったこと、それは「乱」そのものではないか。
そして、逃走中も、その心は、千々(ちぢ)に乱れていたはず。
まさか、念仏を唱えていたわけでも、なかろうに。

乱暴な逃走を修飾するに「苦心惨憺」なら合っている。
「悪戦苦闘」なら、もっといい。
「四苦八苦」もいい。
いずれも、語感が合っている。

と書いて来て、ふと思った。
彼にとって、悪事の意識は、なかったのかもしれない。
善行とは思わないまでも、日常行為の一つくらいに、
思っているのかもしれない。
キーが付いたままの、トラックがあった。
放置されているように、見えた。
だから乗った。

追って来るものがある。
だから逃げた。
だから「一心」なのである。
そこに、罪の意識がない。
とすると、やはり、新聞の報じる、通りなのかもしれない。

 * * *

稀勢の里が、横綱昇進の伝達式で、述べたそうだ。
「横綱の名に恥じぬよう、精進いたします」
これに対し、ファンからは「シンプルでいい」
「素直でいい」の声が多く上がったと、新聞が報じている。

私も賛成だ。
過去には、難しい四字熟語を用い、堅苦しい挨拶をする横綱が居た。
「不撓不屈」は、まだいい。
「不惜身命」なんて言葉、私はその時、初めて目にした。
「堅忍不抜」も同じ。
習ったことも、読んだこともない。

何ゆえに、そんな、世間に馴染みのない言葉を用いるのか……
そこに「格好付け」を感じないわけには、行かない。
どうだ、この通り、おれには学がある。
と言うところを、見せようとしてである。

取ってつけた。
という印象が、否めなかった。
自分の衣裳ではない。
借り物の着物を着て、かしこまっている。
だから、ぎこちない。
そういう印象があった。

これ実は、我が身を振り返りつつ、自戒を込めて、書いている。
実を言えば、私もまた、四字熟語が好きだ。
総じて漢語は、短くて響きが強いから、
語気の迫ったところへ用いて、効果があるとされている。
修辞学では、この「勢力」と言うものが、
大事とされている。

その勢いや力を求め、つい、四字熟語を使ってしまう。
十分に、自分のものとなっていない、それらをである。
その結果として、そこだけ文が浮き上がる。
取ってつけたようになる。
さながら、あの横綱のように……である。

さらには、読者から、問い合わせが来る。
「どういう意味なんでしょう?」
質問にかこつけてはいるが、そこに本音が見えたりする。
「おエライんですね、難しい言葉をご存知で」
そうは言わないが、行間に、皮肉が匂っていたりする。

当人が、粋がるほどに、粋ではない。
馴染みのない漢語を使う際は、注意しなければならない。
そう思っていて、何かの際に、また使ってしまう。
懲りない男だ。
人様を笑えたものではない。

 * * *

「一意専心」を用いた横綱もいた。
これなら、まだポピュラーであろう。
違和感もないであろう。

逃走男も、いっそ、これを使えばよかった。
しかし「一心不乱」よりは、少し世間の認知度が低い。
稀少な言葉を用いるほど、知的とされる風潮もある。
障害なんて、ウソだろ……
さらに世間に、言われるかもしれない。



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悪事ですから

パトラッシュさん

プラチナさん、
そうです。あの場合、無我夢中がよいでしょう。
一心不乱は、善行に使ってもらいたいものです。

2017/01/30 07:09:05

身の丈

パトラッシュさん

我太郎さんは、
素晴らしい写真の技術を持っておられるのですから、
それを生かしたブログでよろしいわけで、
無理に難しい言葉を、使う必要はありませんね。
自分に合ったものが、一番です。

2017/01/30 07:07:04

違和感

プラチナさん

仰る通り、トラックを盗み暴走して逃げた者が、”一心不乱だった”とは可笑しいですね、せめて”無我夢中だった"くらいならまだ…。

2017/01/29 23:37:47

使いませんが

我太郎さん

常識的な四字熟語は知ってはいますが、ブログではまず使いません
ましてなんやと頭をひねるような難しいのは知りませんで使いようがないです
確かに格好良いなとは思いますが、格好つけるようなブログでもないので無理に使うこともないです

2017/01/29 22:51:59

同感です

パトラッシュさん

彩々さん、
稀勢の里のあいさつ、あれでよかったですね。
人間、やりつけないことを、急にやるものではありません。
平常心、これに優るものは、ありません。
(私も、恰好つけようとして、ちょくちょく失敗しています)

日本語は、漢字と平仮名の混合体ですから、むずかしいです。
常に変化し、その止まるところを、知らない……という感じです。

トランプ氏にふさわしい、四字熟語は、たくさんあります。
それこそ、山となるくらいに。
(ざっと、集めてみようかしら……)(笑)

それほど、奇矯な大統領だということでしょう。
今後が注目されます。
しかし、対岸の火事として、暢気に眺めているわけにも、行きません。
火の粉が飛んで来ますから。

2017/01/29 08:44:28

お気楽に

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
緊張感は、大事です。
でも、緊張のあまり、書けなくなってもいけません。
先ずは、気楽に書いて下さい。
書いた後で、推敲すればよいのです。
推敲を、すればするほど、文はよくなる。
と、私は堅く信じております。
例えば、絵画や彫刻などに比べ、そこが違うかもしれません。

2017/01/29 08:30:15

スミマセン、追加です。

彩々さん

でも、つい最近、日本語の読みに関しての難しさを
思い知らされることがありました。
漢字の言い回し、読み方も変化していることを思い
知らされることが数回ありました。

四字熟語・四文字熟語ではありませんが…

「読経」という字、これを(どきょう)と言うか、
(どっきょう)と言うか、です。

友と話していて「辞書で引くと一般的には(どきょう)であり、
(どっきょう)とは言わない。
そんなこと言っていると、人に笑われるでしょう!」

調べる、どちらでも間違いでは無いようです。
漢字や熟語の世界も進化(?)、変化しているのですね。


方や、アメリカ大統領になったトランプさんは、あまりにも
平明すぎる言葉で、指を指しながら言い放ちますが、
適切な四文字熟語をツイートして上げたいと思うことが
度々あります。

2017/01/29 06:14:15

私も思いました!

彩々さん

19年ぶりの日本人の横綱昇進が決まった時、
その挨拶に、多くの日本人が固唾をのんで聞き入った
ことでしょう。

発せられるであろう四文字熟語に期待が集まった
事は言うまでもなかったでしょう。
しかし、横綱となった彼自身が表した想いは、
小学生にも伝わる「素直な本心」のみの言葉が
伝えられました。
これ以上の充分な挨拶言葉がどこにあるでしょう。

私は日本の母親気分で‛よく言った!’と、
頭を撫でてやりたいほどでした。

2017/01/29 06:13:12

緊張感

シシーマニアさん

そうでしたか、どちらでもOKなのですね。

まあ、言葉は使われて居るうちに、変わっていきますものね。

確かに、「・・にも関わらず」と言う文字(最初に出てきた変換もこの漢字でしたし)よく目にします。

私はきっと、師匠にコメントを書くときは広辞苑を調べて「拘わらず」を使うと思いますが。

文章を書くときも、緊張感は大切ですね。

2017/01/28 21:23:29

シシーマニアさん、

パトラッシュさん

四字熟語、四文字熟語、どちらもOKです。
お好きな方を、どうぞ。

どちらでも、間違いではないのですが、言葉には、多数決のところもあります。
ワールドカップもそうです。
一度広まってしまえば、それを覆すのは、容易なことではありません。

それでも、自分のポリシーを貫く場合もあります。
本来、この表現が妥当なのだ。
と思ったら、敢然と、墨守すればよろしいのです。

一例を上げます。
前節を引き継ぎ、反対の意味に、文を導く場合の、接続詞的働きをする言葉として「かかわらず」があります。
現在では「……にも関わらず」が一般的です。
しかし、これに承服しかねる私は、頑として「拘わらず」を使っています。
この方が、筋が通っていると思うからです。

頑固ですね、私も……

2017/01/28 18:17:05

四字熟語、というのですね

シシーマニアさん

私は今日まで、四文字熟語、というものだと思っていました。

常識が無いことは勿論なのですが、こういった間違いが頻繁に起こるのは、テレビが無いせいも多分に有ると思うのです。

殆どの知識が、音では無くて文字から入ってくるので、一度勘違いをすると、身内の前で口にでも出さないと、中々訂正もして貰えませんし。

「世界杯」という文字が、連日、新聞で賑わっていた頃。

何かの話題で口にしたら、家族に「ワールドカップ、って読むんじゃない?」と言われたことがあります。

「うちには、テレビが無いから、仕方ないね」と言い訳したのですが、愚痴っぽいですね。

2017/01/28 17:28:14

若気の至りで

パトラッシュさん

ななつ星さん、
誰でもそうです。
若い頃は、「格好付け」に終始するものです。
でも、それがあり、現在の、飾らぬ生活に、至れるのでは、ないでしょうか。
(中には、至らない人も、居るでしょうけれど)

私だって、今は偉そうなことを、言っていますが、
若い頃は、顰蹙の買われっ放しでした。(笑)

2017/01/28 16:53:57

同感です

ななつ星さん

毎回パトラッシュさんのブログを楽しみにしています。
私は、人生の半分くらいを「格好付け」に費やしてきたような気がし、無駄な時を過ごしたなーと思っています。
年とともに、ありのままの自分をさらけ出すことで、居心地のいい生活を送れるような気がしています。
これからも、よろしくお願いします。

2017/01/28 16:17:55

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