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人生いろは坂

花好きな少年の日々 

2017年02月27日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 今も庭には鉢植えの蔦(つた)がある。この蔦は私が幼少の頃、近所のおじさんが
植え替えの際にゴミと一緒に捨てたものであった。何故、ゴミの中のものに気付いたのか、
何故それが花ではなく地味な蔦の株であったのか記憶にはない。

 その蔦は、ここ児島ではなく広島県の神辺町(今は福山市神辺町)から、こちらへ
持ってきたものである。持ってくるまでも、何度も引っ越しをしているが、捨てた
ことはない。

 そして、かれこれ60年、私の手元で毎年新芽を伸ばし葉を広げている。しかし、
かつてのような勢いはなく、少しばかり弱っているようだ。それにしても私の半生以上
共にあったことになる。

 私の花好きというか植物付きは、年端もいかない幼少の頃からのものである。
人の生まれ変わりが本当の事だとすれば、恐らく前世は間違いなく植物に関わる
ようなことをしていたに違いない。

 自分が農家に生まれなかったことを本気で悔やんでいたこともあるし、高校生の頃は、
本気で北海道の開拓か、ブラジルに渡りたいと思っていた。いずれも果たせないままに
今日に至っている。それもこれも運命、人の定めと言うものであろう。

 その花好きに関する幾つかのエピソードを紹介しよう。幼い頃、長屋住まいだった
私の家には風呂がなかった。従って、風呂は夏のことなら行水、行水が出来なくなったら、
家から少し離れたところにある大衆浴場へ通っていた。戦後の貧しい一時代のことである。

 昨今のような派手な看板などはなかったが、街には色んなお店屋さんがあって活気に
溢れていた。その商店街の通りにお花屋さんがあった。このお花屋さんは、切り花も
鉢植えの花も、そして野菜の種なども売っていた。この頃のお店と言えば、今のように
専門店ではなく、何でも扱っている店が多かった。そのお花屋さんもそうであった。

 ある日の風呂の行き帰り、店頭にヒナギクの苗があった。既に株元からは、たくさんの
つぼみが顔を出しており、開き掛けのつぼみからは赤い花びらが見えていた。

 無性に欲しくなって母にねだり買って貰った。その頃の生活からすれば花の苗を買うなどと
言うことは、金額の問題ではなく贅沢の一つであった。それにも関わらず母は買ってくれた。
嬉しくてたまらなかった。早速帰り、その日から私の宝物になった。

 この花は野生に近いものなのかも知れなかった。水さえ切らさなければいくらでも
花が開いた。根元には群生するように大小のつぼみが付いていた。こうしてひとしきり
花のシーズンを楽しんだ。

 次に買って貰ったのはアネモネであった。アネモネも次から次へと咲く花であった。
この花はヒナギクのように地味な花ではなく、薄い花びらながら花が大きくてヒナギクに
比べれば豪華に見える花であった。そして花びらは単色ではなかった。それが余計に
華やかに見えたのかも知れない。今では多種多様にあって、地味な花かも知れないが、
花の種類が少なかった時代である。アネモネという名前も何となくモダンであった。

 山から松の苗を抜いてきて庭に植えたこともあった。近所には農業高校があり、
ここには珍しい植物がたくさんあった。温室が何棟かあり、中にはサボテンもあった。
その頃、サボテンなどと言うものを見たこともなかった時代である。むろん温室など
あろうはずもない。

 この時の温室の中で咲いているサボテンの花が珍しく強く印象に残っていた。
小学校六年生の時、倉敷の大原美術館の見学旅行があった。むろん日帰り旅行である。
美術館を見学しての帰り、倉敷の駅前にあった天満屋で自由行動になった。

 二階建てだったか三階建てだったか、その屋上で鉢植えの花を売っていた。
その花の中にサボテンの花があった。深紅の花が印象的であった。我慢できなくなって、
持たせて貰ったわずかばかりの小遣いで、そのサボテンを買ってしまった。
小学生が旅行先で花を買って帰るなど、この時代、他にあったであろうか。
それほどまでに花好きで変わり者だったのである。

 こうして花好きは今も、我が家の畑に色んな植物を植え、果樹を育てている。
開拓団に加わりたいという壮大な夢は実現しなかったが、今も植物に対する愛着は
変わらない。

 植物を愛すること、育てることから、多くのものを学ばせて貰った。社会人になって、
寮生活を送ることになったのだが、工事跡の残る寮の庭に植物を植えたのも、会社の
コントロール室の横に植物を植え始めたのも私であった。

 そして、植物好きは自然に親しむことになり、ありとあらゆる自然に興味を抱く
ようになった。今も私の頭の中には、こうした体験を通じて得た様々な知識が、
百科事典のように詰まっている。そして今も昔と変わらず少年のように、色んなことへの
興味は尽きないのである。宇宙、地球、大自然、そして人や人の心と・・・。

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