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パトラッシュが駆ける!

またやった 

2017年03月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

明け方近く、トイレに立ったら、廊下の空気が、何時もと違う。
生暖かい。
その瞬間に気付いた。
自慢にもならないが、私は、事態を把握するのだけは、早い。

エアコンの消し忘れである。
いや、うっかりではない。
昨夜は、確かに、リモコンのボタンを押した。
押し方が、足らなかったのかもしれない。
停止したと思い込み、照明を消し、キッチンのドアを開け放し、
寝室へと向かった。
暗闇の中でも、エアコンは律義に、働き続けていたと見える。

慌ててキッチンに行き、ボタンを押した。
これでもかと、力を込め、押した。
エアコンは停止したが、まだ、困ったことがある。
キッチンに廊下に、暖気が立ち込めている。
これを、妻に気付かれると、うるさいことになる。
「だから言ったじゃない」
嫌味を言われる。
「大丈夫?」
これは、認知症を疑う言葉だ。
なるべくなら、穏便に済ませたい。
私は、窓を少し開け、風を入れることにした。

「しくじっちまったよ」
と認めてしまう方が、早い。
しかし、あまりにも、間が悪い。
つい一週間前にも、私は、同じ失態を、やらかしている。
その時は、完全なる、押し忘れであった。
酔っていたこともある。
エアコンのことなど、すっかり頭から消えていた。

いや、それを言えば、私は、毎晩酔っている。
晩酌が遅いことがある。
飲み終えて、すぐに寝る。
そういうクセが、付いている。
妻は、私の飲酒に付き合わず、先に、寝室に行く。
その際に「じゃあ、お願いしますね」と言い残して行く。
お願いの中に、エアコンが入っていることは、言うまでもない。
というより、エアコンくらいしかない。
煩瑣な用を言い付けたって、亭主が当てにならないことを、
彼女はとうに、知っている。

一週間に二度の失敗。
これはもう、何を言われるか、わかったものではない。
なかったことにしよう……
私は、善後策を、こう決めたのであった。

 * * *

車の暴走事故が起きる。
もしやと思いつつ、ニュースを見れば、やはりそうだ。
運転していたのは、高齢者である。

アクセルとブレーキの踏み間違え、これが圧倒的に多い。
にも拘らず、彼らは言う。
「ブレーキを踏んだが、止まらなかった」
あるいは、こうも言う。
「何が何だか、わからないうちに、車が突っ走ってしまった」

後に警察が、事故車両を調べ、そのブレーキに、
異常のないことが確認される。
それでも当人「いや、踏んだんだ。ブレーキを」と譲らない。
これつまり、思い込みである。
昨日や今日、運転を始めた、初心者ではない。
何十年も、やっている。
車なんぞ、手足の如くになっている。
アクセルとブレーキを、踏み間違えるなんて、あり得ない。
そう言う自信があった。

自信が過信となり、慣れが集中力を、失わしめていた。
ということが、考えられる。
車だから、事故につながる。
惨事を引き起こしもする。
私は、運転免許を返上してしまって、正解だった。
ついうっかりを、やったところで、
少々、電気代が増えるくらい。
そう考えると、失態も苦にならなくなる。

 * * *

階段を駆け上がり、改札口に近付いたところで、
胸のポケットを探った。
そうしたら、ない。
カードがない。
まただ……
瞬間に気付いた。
ここでも私は、気付くのが早い。

それもそのはず、実は昨年も、同じことをやっている。
胸ポケットに入れた、スイカがないことに、下車した駅の、
改札前で気付いた。
乗車駅に戻り、事務所に行ったら、何とこれがあった。
私が改札を通った後、カードをポケットに、
仕舞い損ねたということだろう。
奇特な人が居て、拾得したそれを、届けてくれたらしい。

あれ以来、気をつけていた。
常に、胸ポケットを、確認するようにしていた。
今日だって、地下鉄に乗った後、すぐに胸に手を当てたのだ。
コート越しに、固いものが手に触れた。
ああ、あるな、大丈夫だなと、安心したのであった。

ホームに戻ってみたけれど、当然ながら、電車は走り去っている。
階段を見たけれど、落ちてはいない。
残高は、四千円ほどであった。
それを、諦めればよいことだ。
駅の事務所に寄り、届け出をして行こう。
気を取り直し、とぼとぼと、歩き出した時であった。

腹の辺りで、手に、固いものが触れた。
カードだ。
セーターとシャツの間に、引っかかっている。
ということは、ポケットに入れたつもりが、
入っていなかったことになる。

慌て者め、またしても、カードを仕舞いそこなっている。
去年と同じ轍を、性懲りもなく、踏んでいる。

このところ、小さな失態が続いている。
己のだらしなさに、我ながら、呆れている。
しかし、ものは考えようだ。
全てが、小事で済んでいる。
憂慮するほどのことでは、ないのかもしれない。

いや待てよ。
千丈の堤も、蟻の一穴から、崩れるというではないか。
小事の連続は、大事への序曲、あるいは伏線なのかと、
こう思ったりもする。

取りあえず、カードの事も、妻には黙っていよう。
言えば、その顔が、ゆがむだけ。
何も良いことはない。

 * * *

おっと、いけない。
窓が開いたままだ。
もう十分に、空気も冷えたであろう。
妻が起き出す前に、締めておかねばならない。



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多発しそう

パトラッシュさん

喜美さんは、
お一人で、立派にやっているではないですか。
私は、女房依存症ですから、ぼけやすいのかもしれません。
今後、頻発しそうです。
困っております。

2017/03/04 15:13:31

なるほど

パトラッシュさん

吾喰楽さん、
何処にも、あるのですね、ケアレスミスは。
問題は、同居人の有無です。
お目付け役がいると、後で突かれます。
一人暮らしは、気楽でいいなと、憧れる面もあります。
しかし、私は家事が出来ないので、多分無理でしょう。
同居人の顔色を窺いながら、小心に生きるより、ないようです。

2017/03/04 15:10:35

近づいたか

喜美さん

いよいよ 私の仲間になったのかしら
でも其のこと奥さんに話した方が良いよ 馬鹿にされるか知らないけれど そのたび注意されたら守れるでしょう 一人になると まあいいや
此れ近ごろ私が一番使う言葉です
駅の車掌さんが手を挙げて確認していますけれど 私もそれらしきことやったりしても駄目な時は駄目ですね
頭も使いすぎているから少し安静させています パトさんも時々休ませてあげて

2017/03/04 10:29:28

私も

吾喰楽さん

おはようございます。

似た経験があります。
この冬、一晩中、電気炬燵をつけっぱなしにしたことが、2回あります。

わが家の浴槽は、北側に面しているので、強風の翌日は土埃で汚れます。
シャワーで洗い流したのですが、10日ほど前、栓を閉め忘れました。
そろそろと思って浴室へ行ったら、浴槽は空でした。
数日後、洗った後、栓はしたのですが、蛇口を開けるのを忘れました。
怒る人は居ませんが、一人で苦笑いです。
認知症の始まりでしょうか。

2017/03/04 10:06:29

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