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パトラッシュが駆ける!

カメラが見ている 

2018年12月15日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「おのれ警察め……」
という気分が、若い頃の私にあった。
交通の取り締まりで、警察には何度か、
にがい思いをさせられた。
路上に車を停める。
商談が長引いてしまった。
それは停車ではなく、駐車であり、
そこは禁止の道路であるから、違反になると言われた。
遊びではない、こっちには、生活が懸かっている。
弱い者いじめをしやがって……
という思いがあった。

私はまた、商店を経営していたので、
その方でも、警官と一悶着があった。
店頭に並べた商品が、道路にはみ出ているとして、
注意を受けた。
ほんの三十センチくらいのことで、
目くじらを立てずとも、いいではないか。
重箱の隅を突かないで、もっと大きな事件に、
向き合ってくれよ……
という鬱懐が、警察に対し、積もっていた。

今はもう、そんな蟠りも、すっかり消えている。
店は閉じたし、車には乗らなくなった。
となると、現金なものだ。
警官への意趣もなくなり、その呼称には、
敬称を付けるようになった。
「お巡りさん」
私もようやく、世間並みになった。

 * * *

私は、経営する囲碁サロンの店頭に、防犯カメラを設置している。
何かの時に、役立つだろうと思っている。
その何かには、私の不在時の、見張りという意味があった。

私は、風来坊であり、客の予約がない時は、
さっさとサロンを抜け出し、あちこちを、ほっつき歩いている。
無目的に……である。
外気に当らねば、心身共にふやけてしまう……
という強迫観念がある。
「歩くに優る健康法なし」……という考えもある。
しかしながら、留守中に、大事な客が、来ないとも限らない。
カメラには、その来客の、記録を取ると言う意味があった。

ある時、女性の警察官がやって来て言った。
「昨夜、この近くで、強制猥褻事件がありまして……」
何のことかと思えば、それは痴漢のことであった。
「犯人は、この道を逃走したと思われます。
つきましては、こちらに設置してある、防犯カメラの映像を、
確認させて頂けないでしょうか」
「どうぞ、どうぞ」
快く見せてあげたのは、言うまでもない。
結局、犯人は、録画に残っていなかったのだが、
私は思わぬ形で、警察の捜査に、協力することとなった。

こうなると、欲が湧く。
どうせなら、犯人の検挙に、貢献したい。
それには、解析度の高い映像と、長時間録画出来る、
記録媒体が必要だ。
それには、現在の、おもちゃのようなカメラではいけない。
より高性能のカメラが欲しい。
それは当然のように高い。
私のような、一民間人が、そこまで尽力する必要が、
あるのかどうか……
そこを考えていた。

 * * *

過日の、ハロウィンの騒ぎには、驚いてしまった。
あれは、そもそも、異国の、異宗の祭りではないか。
宗徒でもない者が、その形だけを真似る。
それは、信仰を持つ人々から、蔑みをもって、見られはしないか。

私は、仏教に関心はあるけれど、とても敬虔な信徒とは言えない。
それでも、クリスマスを祝ったりはしない。
あれは他宗のお祭りであるとして、背を向けている。

渋谷の町の騒擾には、呆れてしまった。
ハロウィンの、その本来の意味なんぞ、とうに忘れられ、
ただの仮装大会と化している。
私が若かったら、あれに加わっただろうか……
太陽が西から上がったとしても、それはないと思われる。

群衆の中に紛れ込んだ、軽四輪のトラックが、
興奮した若者たちにより、横転させられた。
その上で、パンツ一丁になり、踊る若者が居る。
付和雷同する男が、何人も居る。
私は、彼らに呆れ、同時に渋谷の町にも失望した。
あそこはもう、若者専用の町であり、
年配者が足を踏み入れる地では、なくなってしまった。

それから一週間ほど後のこと、私は再び、
ニュースに驚かされた。
軽トラック横転事件の、主犯格四人が逮捕され、
十人ほどが書類送検されたと言う。
警察、よくやった。
大群衆のなかから、よくぞ、犯人の身元を割り出した。

防犯カメラのおかげらしい。
一台のカメラの、捉える範囲は、ごく限られている。
しかし、点も連ねれば、線になる。
ある人物の進行方向に沿い、画像を拾って行くと、
連続した映像になる。
警察は、これを丹念に繋ぎ合わせ、
とうとう犯人の自宅まで、辿り着いたらしい。

捕まった犯人も、これには、驚いたであろう。
天網恢恢とは、このことだ。
恐るべし、防犯カメラ。
昔、聞き込みに奔走したであろう警察が、
今や、労せずして犯人の行方を掴む。
いや、実際には、画像を収集するなどの、
苦労はあるだろうけれど。

防犯カメラは、事件の解決に役立っている。
社会正義の実現に、寄与している。
犯罪の抑止力にもなるであろう。
だからこそ、警察も、全力を上げ、犯人逮捕にこぎつけ、
一罰百戒のモデルとしたかったのであろう。

私も、その一助になればいい。
ただ今、カメラを物色している。
しかし、高い。
設置工事だって、素人の手には負えない。
私の、社会正義への寄与は、正念場を迎えている。



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いっそダミーでも……

パトラッシュさん

漫歩さん、
私としては、私の生活圏で、犯罪が起きないことが、第一の望みです。

カメラが、抑止力になってくれれば……
ということで、目立つ機器を設置したいのですが、
予算との関連もあり、目下考慮中です。

2018/12/16 09:13:12

利便と弊害

パトラッシュさん

シシーマニアさん、

テクノロジーの発達は、私達に、利便をもたらす一方で、弊害も生まれます。
カメラの羅列は、監視社会へと結びつく恐れも多分にあり、いい気持ちはしませんね。

しかし、人間関係の希薄な、都市生活では、これに頼らざるを得ないのも、事実のようです。

2018/12/16 09:08:13

悪を逃がさぬ

漫歩さん

街のカメラは、犯罪の抑止、検挙率を上げるなどの面で実証されていますね。

私はパトさんの背中を押しています。
囲碁教室に防犯の目玉が光る日が来ますように〜。

2018/12/15 21:25:21

私は

シシーマニアさん

ちょっと怖い感じもします。

何処かで、ずっと監視されているんだ、という感覚でしょうか。

昨日、「そのうちキャッシュレスの時代が来るんじゃないか」という話をしました。

その怖さを、散々話したところだったので、ちょっと繋がってしまいました。


意識が、被害者より、加害者側ですね(笑い)

2018/12/15 17:38:46

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