メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

北軽井沢 虹の街 爽やかな風

10秒のキス 

2011年07月06日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 

 

 

 

 

 

 

 

 
昨日の朝は、猛烈な雨が降っていたが、天気予報では晴れるという。にわかには信じられなかったが、しばらくすると、突然明るくなり晴れわたった。
週に一度の買い物日は、作業用にジーパンを買うことになり佐久まで足を延ばした。そして、久しぶりに浅間山の姿を見た。御代田にあるパン屋さんの駐車場からも違う角度からの浅間山を撮影できた。昨日は青空に白い雲がすっかり夏の洋装だった。駐車場にはシャラの白い花が咲き始めていた。キャンプ場にもシャラがたくさんあるが、まだツボミは固い。やはり高度差のため随分と気温も違うからだろう。ここに暮らしていると、すこしドライブして、今日のようにシャラの花を楽しみ、またしばらくして自分の住む場所でも同じ花を楽しめる。
快適なドライブ、そしてショッピングは楽しい。また今日も、幸せな一日であった。
 
私の「パクリメモ」から一つのお話しを紹介したい。
これは、「全国亭主関白協会」の会員であるN氏の語った実話である。
 
「10秒のキス」
 
 例年より桜の開花が遅れていた。
総合病院のエントランス脇にある数本の桜も5分咲きで、
春の訪れを待ちわびている。
6時にロビーで待ち合わせていたが、高1になる長男から携帯に
「少し遅れる」とメールが入った。
高3の長女と中学2年の次男と一緒に一足先に妻の待つ病室に入ることにした。

 乳ガンが全身に転移し、余命幾ばくもないと、みんなが知っている。
モルヒネの効果だろうか、いつになく穏やかな顔だった。
先生が回診に来て、「どうですか、痛みはないですか」短い言葉に、
妻は小さくうなずいた。

 親の反対を押し切って結ばれた私たちは、社内恋愛だった。
三人の子供にも恵まれ、それなりに幸せな毎日を送っていた。
 今はもう、ベットに横たわる妻を見つめることしか、なす術がない。
やがて先生は病室を去り、二人の看護師さんがテキパキと点滴を換えている。

 長男が慌てて、病室に駆け込んできた。「ごめん、部活がおしちゃって」よほど慌てて来たのだろう。学ランの下からワイシャツがのぞいていた。
 家族が全員揃ったのは久しぶりだ。子供たちの近況を聞いていた妻が、
少しの微笑みと共に、私の方に目をやると、唐突に

 「あなた、キスして」と言った。

 二人の看護師さんと三人の子供たちには聞こえたのだろうか。
一瞬ハッとしたが、ためらいもなく唇を重ねた。
 生涯の中で、こんなに長いキスは初めてのような気がした。
 薄目を開けて見れば、ひとすじの涙が頬を伝っている。
そっと唇を離すと、嬉しそうに、だが、「短いのね」とスネてみせた。

 看護師さんも子供達も見て見ぬふりをしていたような気がしたが、
私は、「ふたりっきりの時にリクエストしてくれよ」と頭を掻いた。
 精一杯の照れ隠しだったが、病室は静けさに覆われている。

 やがて深い眠りが訪れたのを確かめて、病室を後にした。
涙で、病院の長い廊下がユラユラと揺れていた。

 それから丁度二週間後、妻は静かに息を引き取った。
満開の桜の下で遺影を抱いた長女が、
「あの時の母さん、とっても幸せそうだったね」とポツリ。

 子供の前で交わしたキスからもう3年が経った。
3人の子供達の心に深く刻み込まれたのだろう、短大を出た長女は、
大学生と高校生になった弟達の面倒をよく見てくれている。
 2人の息子達も明るく、真っ直ぐに育っている。

 君の、最後のメッセージは、決していい夫ではなかった私の心にも、
永遠に灯っている。
 そして二度と交わすことが出来ない、
君との「10秒のキス」を一生忘れないだろう。

 
 
このショートストーリーは全て実話。
 3年前に最愛の妻を亡くした全亭協の会員の N氏が語ってくれた
「10秒のキス」物語。
 全亭協の会員へ夫婦愛の最高の形として密かに語り継がれている。
もうすぐ満開の桜が咲く季節になる。
 この話を公にしたことを、 N氏の奥様はきっと天国で微笑んでい
るに違いない。
 彼は私に全亭協の愛の三原則、「ありがとう」「ごめんなさい」「愛してる」を
妻が元気なうちに、もっともっと言えば良かったと、はにかんだ。
 
 

>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)





この記事はナビトモではコメントを受け付けておりません

PR





掲載されている画像

    もっと見る

上部へ