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パトラッシュが駆ける!
蘭ちゃんのこと
2019年11月23日
テーマ:テーマ無し
落語は好きだけど、講談や浪曲はさほどでもない。
という人は、少なくないのではあるまいか。
歌舞伎はよく見るけれど、文楽は見ない、能や狂言も見ない。
という人も、同様と思われる。
私がその一人。
どちらも「面白いから見る」「聞く」のであり
「退屈だから見ない」「無理して見るまでもない」ということになる。
「鳳樂と新鋭若手の二人会」というのが行われます。
どうです、行きませんか?と、語句氏から誘われた。
鳳樂師の落語は、聞き慣れている。
その芸の確かさには、全幅の信頼を寄せている。
問題は、新鋭若手の方だ。
神田蘭さん。
今売出し中の女性講談師であるらしい。
「あららぎさん?」
「いや、らんさんです」
「………」
「良かったですよー実にもう」
語句氏は以前に、その講談を聞いたことがあるそうだ。
そうか、そこまで褒めるなら、聞いてみようかということになった。
* * *
語句氏の言う通りであった。
蘭さんのその語り口は明瞭であり、力があった。
随所に“くすぐり”が入り、客を笑わせる。
落語とどう違うのか……
話の要所に来ると、張り扇で釈台を叩き、一際高く声を上げる。
そのくらいであり、会話に際し上下(かみしも)を切るなど、
落語とさして変わりはない。
元々講談は、家臣が殿様に、戦況を報告することから発したとされている。
つまりレポートである。
一方の落語は、人情や世情を面白おかしく、大衆に伝えるためにある。
出自が違う。
育ちも違う。
登場人物にも差がある。
片や歴史上の著名人であり、こなた市井の無名人である。
片や高潔に、こなた俗物へと描かれる。
人間の多くは、高潔に憧れつつも、卑俗の中に生きて居る。
共感を得られるのはどちらか……ということになると、
答えはもう言うまでもない。
蘭さんの芸は、多数派つまり、落語にすり寄っていると言えなくもない。
正統派の講談好きからみれば、それは邪道であるかもしれない。
しかし、私のような落語派としては、すり寄られ大歓迎だ。
過去に、女性落語家の高座を何度か見た。
「よくやってるな」と思いこそすれ
「これは……」と思ったことがない。
蘭さんの芸には「これは」があった。
「また聞いてみたい」と思わせるそれは、
一つの値打ちではあるまいか。
樋口一葉を語った。
貧しさの中で、短歌を作り、やがてこの国の文学史に名を残す小説を、幾編も書いた。
この様子を蘭さんは、さながら小春日和の青空のように、
明るく語った。
同じ事物を明るく語るも、暗く語るも出来る。
蘭さんは、徹頭徹尾前者で行った。
その結果として、悲話が落語に近付いた。
ということは、あるかもしれない。
一葉に通じているな……ということを先ず思った。
彼女は、講談として語るまでに、一葉のその生涯を、
つぶさになぞったと思われる。
作品ももちろん、読んだであろう。
その結果、彼女の一葉への哀惜は、さらに深まったと思われる。
それらを踏まえての、蘭さんのその明るさであった。
だからこそ、聞く者の胸に響いた。
と私は見ている。
但し、一席二席では、まだ本当のところはわからない。
彼女を確かめるためには、もう少し、その後を追わねばなるまい。
と共に、他の講談師の話も聞かねばなるまい。
それとの比較の上で、彼女の評価を決めたい。
世の中には、龍頭に驚き、確かめに行ったら、やがて蛇尾を見た。
なんていう例がないでもない。
* * *
二人会のアフターで、打ち上げが行われると聞き、
私も近くの寿司屋まで、付いて行った。
噺家や講釈師と飲む。
そう言う機会は、そうあることではない。
嗚呼しかし、蘭ちゃんは来なかった。
彼女にも取り巻きが居るらしい。
それらとの懇親に赴かれたようだ。
一方私達は、鳳楽師の取り巻きである。
師匠を囲んで飲んだ。
談論風発し、それはそれで楽しい会であった。
寿司屋だけに、刺身も寿司もふんだんに出た。
酒がまた豊富であった。
とっかえひっかえ、銘酒が出て来る。
私は飲兵衛であり、それらを確かめずに居られない。
つい飲み過ぎてしまった。
上野池之端の金太楼寿司、なかなかいい。
折あらば、また行こうと思っている。
それを言えば、もっと行きたいのが「上野広小路亭」だ。
小さな寄席であって、客席と高座が近い。
さながら演者と、差し向かいに座っている感がある。
この親近感がいい。
落語でも講談でも、その響きが大いに違う。
寄席は小さい方が良い。
私は近々、裏を返しに行こうと思っている。
出来れば、蘭ちゃんの出演する日がいい。
さらに出来れば、打ち上げに加われればいい。
もしかすると、嵌るかな……という予感がある。
蘭ちゃんに、そして講談にである。
道楽の間口は、もう広げまいと思っていた。
その覚悟が揺らいでいる。
少々困ったことになっている。
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人との縁は大事にしたいです
喜美さん、
瓢箪さんですね。
私も歩くのが好きですから、きっと話が合うことでしょう。
何時か機会がありましたら、お会いしたいものです。
2019/11/23 20:42:23
時間とお金が足りません
吾喰楽さん、
沢村さんですね、覚えておきます。
貴兄が見とれたその顔を、是非拝見したいと思います。
今でさえ、道楽が過ぎ、妻の目を憚りつつ、
出かけています。
あちこちに嵌り過ぎ、にっちもさっちも行かなくなりそうです。
2019/11/23 20:40:17
古典芸能
浪曲の曲師、沢村美舟(みふね)さんも、いいですよ〜
初めて見たとき、耳で浪曲を聞き、目は美舟さんの三味線ではなく、顔に見とれていました。
機会があれば、是非!
道楽の間口、大いに広げてください。
落語、講談、浪曲、そして歌舞伎、文楽、全て古典芸能と考えれば、間口は一つです。(笑)
2019/11/23 18:29:18
今日
話全く違いますけれど 瓢箪さんが
お見えになり パトさんの話も出ました あの方歩いて東京まで来るとき
鎌倉でお会いすることになっていましたのに全くそのまま
話全く違いますけれど 瓢箪さんが
お見えになりパトさんの話も出ました
パトさんにもお会いしたいとのことでした
2019/11/23 17:26:29