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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

ミュージアムコンサート「追悼」 

2011年09月11日 外部ブログ記事
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9月11日は米同時多発テロ事件から10年。今年3月の東日本大震災から半年という大きな節目の日となった。人災と天災の違いはあるが、日常生活を突然襲った悲劇は世界中を震撼させた。
そして記録を調べていると、前日の10日は、1943年に1000人以上の死者が出た鳥取地震が起きた日だった。奇しくも私の生まれた3日後の出来事だ。
 
私たちは軽井沢・脇田美術館で行われたミュージアムコンサート「追悼」に出かけた。そして、いつものように少し早めに会場に着いた。会場ではハープ・福本しのぶとホルン・阿部麿の音あわせが行われていた。このコンサートは毎年楽しみにしているが今年のホルンとのコラボは未知の世界なので胸がふくらんでいる。私の呼びかけで参加していただいたU夫妻は、帰京される列車の都合で最後までいられない可能性があると言って後部座席に着席されたが、私たちはA夫妻と最前列に着席した。
 
ホルンの音色を単独で聞く機会は少なく、どんな音なのか期待は大きい。会場が美術館という場所なので管楽器の場合、響きが大きい。とくにホルンの響きは深くハープの音が負けているという感じはあったが、尺八とハープのときに感じた、私個人にとっては異様とも思われる組み合わせにもかかわらずその響きは心地よく体にしみ込んでいった。
 
演奏者・阿部麿のホルンという楽器の説明は、あの丸い形の先が動物の角の形をしているところから始まった。すなわちホルンは原始的な形の「角笛」から発達したと言われていて、直接の祖先は「コルノ・ダ・カッチャ」と言う狩猟のときに用いたホルンだという。丸い形をしてバルブのついていないその狩猟に使われていたホルンの現物を、馬にまたがって首から肩にぶら下げている様子を実際に観衆に見せながら演奏してくれたが、その響きはまさに狩猟現場にいるという心地よい響きであった。
 
ホルン演奏者・阿部麿の話しは続く。福島出身の彼は親族が被害に遭っている。震災の前に祖父の倉庫で発見したホラ貝をとりだして、今から三つの音を出してみます、といって吹いたホラ貝の音は私の胸に深く深く響き重くのしかかるようにこだました。まさに「追悼」の響きだった。
帰宅後、妻もあの音に涙があふれたと話す。日本では戦国時代に合戦における合図や士気高揚のために用いられたホラ貝の響きが復興を目指す人々の意気を高め讃えているのだと感じた。
 
ハープとホルンのデュオ演奏は、まったく趣の違う音色がまるでどちらかが追いかけるかのように聞こえる。ホルンが追いかけハープが逃げる。また時にはその逆もあった。何曲かデュオ演奏があった後に、岡谷かおり作曲のハープ・ソロ「祈り」が演奏された。この曲はハープ奏者福本しのぶによる初めての演奏だ。突然襲った恐怖に逃げまどう人々、そして犠牲になった多くの人々を悲しむ肉親や友人達の心を安らげる祈りのメロディーは、はじめは激しくそして強く荒れ狂う。しかしその後、悲しい悲劇を沈めるかのように静かに温かく軽やかな音色に変わっていく。犠牲者が安らかな眠りにつくように、そして生き残った人々が立ち直り平和な世界が訪れるようにと、ハープのやさしい音色は会場いっぱいに響きわたった。見事な演奏技術を駆使して演奏された「祈り」に、会場の拍手はしばらく鳴りやまなかった。そして、私たちは今日もまた素晴らしい感動を得た。またハープ演奏者・福本しのぶにとって今年7月になくなった父への追悼コンサートとなったに違いない。
 
 

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