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パトラッシュが駆ける!

小噺 上塗り 

2013年07月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「やつぁ、犬を二匹飼っていたそうで」
「一人住まいで、その飼い主が姿を消したら、
犬はどうなる。餓死する恐れもある。
真の愛犬家なら、そんな無責任なことを、やらない」
「頭に血が上り、犬のことなんか、眼中になくなってたんでしょうね、きっと」
「どうも、その人間性に、問題ありのようだ」

「あの俳句は、どうなんで?」
「あんなもん、俳句じゃない。ただの戯れ句だ」
「付け火って、放火のこってしょ。穏やかじゃないね」
「事件と関係なしに見た場合、あの句には、
一種の諧謔がないこともない。詩への萌芽も、ないことはない。
だから、惜しいと言えなくもない」

「ご隠居さんの、句会にでもへえって、揉まれたら、ものになりやすかね」
「それはどうかな。多分に、夜郎自大なところが、あるようだから」
「何です?それは」
「自分を偉いもんだと、思い上がってしまうことだ」
「ははあ、ありますね、ご隠居さんにも」
「何を言う。謙遜が、洋服を着て歩いているような、この儂を」

「それにしても、小さな集落ですね」
「それが、不幸の始まりだったかもしれん。鯨が池に迷い込んだようなものだ。
都会なら、少々の変わり者も、受け入れる余があるんだが」
「あっしもご隠居さんも、山奥には住めねえね」
「一緒にするな」

「結局、人生を棒に振ったてえこってすか。腕のいい、左官だったてえのに」
「お前も職人の端くれ、同じ轍を踏むな」
「あっしは、諍いなんか、起こしませんや。精々、酔っ払って、ご隠居さんを、からかうくらいのもんだ」

「困ったやつめ。世間に恥ずかしいことをするな」
「わかっておりやす。あっしは、左官じゃないから、
恥の“上塗り”は、致しやせん」



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ダジャレです

パトラッシュさん

夏の葉さん、つまらない小噺に、コメントをありがとうございます。
死者の出た事件というものは、なかなか小噺に、まとめにくいものでして・・・
ダジャレで落とすより、ありませんでした。
次はもっと、明るい事件?をネタにしたいと思います。

2013/07/28 07:09:36

オチ

夏の葉さん

はどう着くのかな、と思いつつ読み進めて、
最後にストンと落していただきました。

あはは。お見事。

あらためてタイトルを見て、あ〜、そうか、と今頃気がついたりして。

ご隠居さんの話術を存分に楽しませていただきました。

2013/07/28 00:47:21

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