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パトラッシュが駆ける!

見ないことに 

2013年08月30日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

数か月前のことだ。
私は、まんまと騙されてしまった。
映画にである。
題名に引かれ、何の気なしに行ったら、これが私の想像とは、
大違いの、粗暴なアクション映画であった。

「図書館戦争」というから、これはてっきり、書籍を巡り、
知性と知性が、ぶつかり合うのであろうと、思った。
私は、図書館には、とりわけ、お世話になっているので、
見過ごしには出来ない。
いそいそと映画館に行った。

そうしたら、実は本物の戦争であり、戦闘員が図書館に突入し、
火炎放射器で本を焼き、銃までぶっ放すのである。
んなバカな・・・
唖然として、しばらく、開いた口がふさがらず、やがて悲しくなり、
映画館を出た。

よく確かめなかった、私が悪い。
振り込め詐欺と同じく、騙される側にも、問題がある。
騙す方は、それが仕事だから、あの手この手を考える。
映画だって、客を呼ぼうと、必死に知恵を絞る。
それに、うかうかと乗せられてしまった。

それ以来である。
疑ってかかる、くせが付いている。
これを「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」というのだろう。
映画一つ見るにも、慎重になっている。

 * * *

映画「風立ちぬ」が、好評だそうで、公開以来、その観客動員数は、
毎週連続で、首位をキープしていると聞く。
しかし、ここが肝心だ。
数字に惑わされては、いけない。
私は、失敗から、学んだつもりだ。

私の信頼する人物の、評価を聞いてからで、遅くない。
つまり、口コミ頼りである。
食の隠れ名店なども、これで情報を得るに限る。
雑誌などでは、そこに載った段階で、もう「隠れ」ではなくなるのだから。

そう思っていたのだが、私の周囲には、この映画を見たという人が居ない。
いや、居るはずだ。
観客動員数、450万人というのだから、その一人くらい、
居て不思議はない。

しかし、話に出ない。
「あなた、見ましたか?」
聞いて回るわけにも行かない。

N男が明日、お母さんと一緒に、映画を見に行くと言い出した。
「風立ちぬかい?」
「先生、よくわかったね」
ずばり当たってしまった。
それだけ、気になっていたからだろう。
ちなみに、N男は私の囲碁の教え子である。

「どうだった、映画は?」
「うん、面白かった」
次に来た時の、返事がこれだけだ。
無理もない。
彼は小学五年生なのだから。
しかし映画は、まんざらでも、なかったと見え、にこにこ笑っている。
子供の目ながら、一応の客観性もあり、判断の一助にはなるだろう。

 * * *

「明日映画を見に行こうと思う」
「あれですか」
「そう」
妻とは、これまで話に出ているから、「あれ」で通じてしまう。

「新聞を見て下さい。詳しく出ています」
妻が、その日の夕刊を差し出した。
「特集ワイド・風立ちぬ」は、写真入り、六段組みの大きな記事だ。
それだけ、世間の耳目を集めていると見える。

「感動」×「違和感」
の見出しの下に、賛否両論が併記されている。
いや圧倒的に、否定論の方が多い。

「戦争産業に従事したり、恋人が結核で苦しんでいたりするのに、
主人公の葛藤がなく、共感しがたい」 
                        (作家・東浩紀)                                                    
「主人公の手前勝手なナルシズム」           
                (コラムニスト・中森明夫)

「戦争の現実を切り離して、飛行機の美しさだけに惑溺する姿」
                   (政治学者・藤原帰一)

「宮崎監督のエゴの押し付けという印象を持ち、違和感と後味の悪さが残りました」
          (メディアジャーナリスト・渡辺真由子)

実にもう、手厳しい。
識者の意見とて、盲従するつもりはないけれど、実を言えばこれらは、
私がそこはかとなく、感じていたところでもあった。

「やめておく」
「そうしましょう」
妻とも意見が一致した。
彼女も、一緒に騙された仲だ。
あれ以来、同じように、慎重になっている。

きっと、宮崎アニメ特有の、美しい映像が見られたであろう。
「崖の上のポニョ」を見た時のことを思い出した。
いずれの場面も、美しいのである
しかし、覚えているのは、そのくらいだ。
ストーリーやテーマについて、記憶がおぼろになっている。
鮮烈な感動が、なかった証拠だ。
例えば「三丁目の夕日」のような。

あの時、引っかかったのが、たまたま映画で、むしろ良かったとも言える。
被害と言っても、シニアの映画料金と、二時間ほどの時間に過ぎないのだから。
体内に、抗体が出来ただけ、よかったと思うことにした。
私達は多分、振り込め詐欺には、引っかからないであろう。



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ゼロが少なくてよかった・・・

パトラッシュさん

トパーズさん、こんにちは。
我ながら、見事に引っかかったものです。
「金返せー」
叫びたくなるのも、振り込め詐欺の被害者と、同じです。
まあ、ゼロが三つほど少ないので、それほど大声では、叫びませんけれど・・・

2013/08/31 11:14:05

図書館戦争

トパーズさん

申し訳ないと思いましたが、パトラッシュさんが、
図書館戦争の映画を観賞なさって、がっがり
されている様子を想像したら、もう可笑しくって・・・・
ま、被害が小さく済んだ上、これを教訓として、
この手の詐欺にひっかからない免疫ができた事は、
不幸中の幸いでした。

2013/08/31 09:36:56

あれには懲りました

パトラッシュさん

かしこさん、読書家でいらっしゃるのですね。
私、有川浩という作家は、知りませんでした。

映画は、あまりにも荒唐無稽で、途中で退席したくなったのですが、
ほぼ満員の映画館で、上映中に、人の足元を、すり抜けすり抜け、出るのも憚られ、とうとう最後まで、見る羽目に・・・
参りました。(笑)

以来、映画を見るのに、慎重になっています。

2013/08/30 16:03:17

こんにちわ

かしこさん

図書館戦争は 有川浩の本です
ちょっと読んだけどーー無理があっので
やめましたけど 
この人の本は好きの部類に入ります

宮崎ア二メ 風たちぬ はまだ見てません
機会があったらとーーーは思ってます

2013/08/30 15:38:22

惜しかったかも・・・

パトラッシュさん

秋桜さん、こんにちは。
実は、秋桜さんのブログ、「雑感」を見て、ためらっておりました。
丸っきり、正反対ですものね。

でも、同じ作品を見ても、(私の場合、見てもいないけど)受け止め方は、人により違うもの・・・
賛否両論あっていい・・・
そう思って、今日のブログを書きました。
というより、書いてあったものを、提出したような次第です。

秋桜さんの感性には、一目置いておりますので、
もし、あの新聞より前に、秋桜さんがブログに書いておられたら、私は、映画を見ていたかもしれません。

2013/08/30 15:20:05

こんにちは〜〜

秋桜さん

「図書館戦争」という映画は知りませんでした。
悔しかったですね。
時々前宣伝につられ観に云ったけれど
なぁ〜んだというのありますね。

「風たちぬ」は封切られてすぐ観ました。
ストーリーより映像を愉しめました。
彼の絵が好きなのです。
細かい描写が丁寧に描かれて・・・

2013/08/30 14:12:10

そうです

パトラッシュさん

夏の葉さん、こんにちは。
そうです。M新聞です。
私の場合、必ずしも貞淑ではなく、時たま、A新聞と取り換えています。
ビール券欲しさに・・・です。(笑)

あの映画評、もっと早くに載せてくれたら、よかったのですがね・・・
悩まなくて済んで。
皆さんの言っていること、逐一もっともだと思いました。
見ても居ないのに、納得が行ってしまいました。

宮崎さんの作品だから・・・と、大体想像できることもあります。

少年Hは、見に行こうと思っています。
夏休みが終わってからの方が、少しは空くのではないかと、こう思っています。

そうでしたね、昔は二本立てが普通で、三本立てもありましたっけ。
それだけ、映像に対し、貪欲だったのでしょうね。

明後日から、九月になりますが、当分暑さは続きそうですね。
「夏の葉」さんの季節は、まだまだ続くということです。
ご活躍を、お祈りいたします。

2013/08/30 12:56:33

同じ新聞のようで

夏の葉さん

パトラッシュさん、こんにちわ。
どうやらパトさんちで取ってらっしゃる新聞は、
我が家と同じようでして・・・。

日曜は大型クロスワードや小さなパズル、別刷り(というの?なんと呼ぶのか分かりませんが)の日曜版には藤原帰一さんの映画評が載る、あの新聞。
長年取っていて、絶対ほかの新聞に浮気したことない貞淑な読者です。(笑)

ところで、「風立ちぬ」は私もどうも見る気が起きません。
大方の評が、「主人公に葛藤がない」。
お気楽ノー天気なコメディは別ですけど、
私は主人公に葛藤のない映画は共感しにくい体質なもので・・・。(笑)
最近、スタジオ・ジブリものからは気持ちが離れています。

そうそう、先週、時間が丁度具合がよかってので『少年H』と『終戦のエンペラー』を梯子しました。
どちらもなかなかよかったですけど、さすかに一日に2本はくたびれました。

昔、邦画が週替わりで2本立て、3本立ての時代がありましたっけね。あー、嘘みたい。
みんな元気だったんですね〜、あの頃は。

2013/08/30 11:46:52

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