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パトラッシュが駆ける!

道楽者が 

2014年06月27日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

私は、若い頃、道楽者であった。
人が楽しそうに、遊んでいるのを見ると、ついそれを、
やってみたくなった。
例えば、ギャンブルである。
パチンコから始まり、マージャン、競輪、競馬、競艇など、
一通りのものに、手を出した。

やってみないことには、気が済まないのである。
しかし、始めるのも早い代わりに、見切りをつけるのも早い。
とても儲かるものではない・・・
と気付き、さっさと足を洗った。
人間、何が幸いするかわからない。
「移り気」なんてものが、人生で役立つことも、あるのだと知った。

囲碁も将棋も、少年の頃から、その基本を知っていた。
但し、初心者のままであった。
本腰を入れたのは、中年期からであった。
ギャンブルに見切りを付け、アウトドアの遊びからも、
遠のいた時期である。
私は、仕事一途には、生きられない人間であった。

家の近くに、区民集会所が出来た、その影響が大きい。
その談話室に、大勢が集まり、囲碁将棋に興じていた。
あれなら、おれにも出来る・・・
ヒマを見つけては、その場に加わるようになった。

たちまち夢中になり、今度はヒマをひねり出し、集会所に奔った。
それこそ、仕事を抜け出してである。
妻に迷惑をかけたし、勤勉なる、近隣の商人からは、
白い目で見られたりもした。

移り気なくせに、一旦のめり込むと、止まらなくなる。
私の、厄介な性格である。
自分でも、時たま呆れるけれど、これが容易に直らない。
夢中になったのが、囲碁将棋でよかった。
「飲む、打つ、買う」であったら、今頃私は、河原の青テントで、
寝ているかもしれない。

 * * *

「囲碁と将棋を、授業でやりたいと思います」
「ほう」
「つきましては、先生にも、お力を貸して、頂きたいのですが」
「いいですよ。ひまだけは、たっぷりありますから」

先日の、文部科学大臣杯、小学生将棋大会の会場であった。
T小からは、副校長さんが、生徒の激励に来ていて、
私と立ち話になった。

今まで、クラブ活動の一環であった、囲碁と将棋を、
T小の正課に、取り入れようというわけだ。
最近、こんな話が、あちこちで聞かれる。
天下の東大でも、囲碁を教養課程で、用いると伝えられている。

正課、即ち授業である。
しかし、T小の先生方は、未経験者ばかりで、教えられない。
教師なんて、そんなものだ。
多くは、遊びを知らず、純粋培養のまま、教育の道に入っている。
そこで、不純な環境に育った者の、出番が来る。
クラブ活動のコーチである、私達に、臨時講師になってくれというわけだ。

「部活に使う、大盤があります。あれを黒板に張りつけ、
ルール解説をやりましょうか」
「お任せします。よろしくお願いします」
「この際、先生も、おやりになったら」
「いやいや、私はとても駄目でして」
副校長さん、典型的教育者であられる。
彼の辞書に、道楽の二字は、ないのではあるまいか。

 * * *

「せんせーい、今度の大会のシャツは、青にしまーす」
M子が言い出した。
「おいおい、去年は黒だったじゃないか」
「変えました」
「将棋の連中は、毎年赤だぞ」
「赤はいやです。絶対嫌です。皆で決めました。今年は青です」

大会に着る、シャツのことだ。
団体戦だから、服装を統一する方がいい。
連帯感を高めるし、見た目にもいい。
将棋の連中は、律義に、部のユニフォームを着用し、出場している。
ところが囲碁の方は、女子が多いせいか、服装へのこだわりを言う。

「赤なんか、やだー」
これ、男が言うならわかる。
今時は、女子が言うのである。
そして、私自身も、本音を言えば、赤は苦手だ。
いい歳をした、おっさんが・・・という頭がある。

それで、去年は、黒になった。
仕方なく、私も黒のTシャツを買った。
それが、今年は、青にすると言う。
「せんせーい、今着てる、その水色のシャツでいいですよ。
一応青だから」
M子のやつ、生徒のくせに、先生の服装の、認可までする。

 * * *

文部科学省は、将棋と囲碁を、公平に扱っている。
将棋の大会があり、日を置かずして、囲碁の大会が開かれる。
私は、そのどちらへも、顔を出す。

六月は、忙しい月であった。
諸々の予定に追われ、好きな旅にも、出られないでいる。
しかし、仕方あるまい。
囲碁将棋こそ、今や私の正課なのだから。

人生は、面白い。
どこでどう、変転するかわからない。
勉強嫌いの、この私が、その道楽ゆえに、教壇に立とうとしている。

誰にだって、老後は来る。
「若者よ、若い時の道楽は、買ってでもせよ」
私は今、声を大にして、こう言いたい。



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忍の一字です

パトラッシュさん

のびたさん、
お読み頂きまして、ありがとうございます。
極めたなんてことは、ありませんのです。
長年やっているのは、確かですけれど。
小学生が相手ですから、ほどほどの棋力があれば、
誰でも務まります。
必要なのは、忍耐力です。
何しろ、怒ることは出来ませんから、繰り返し言って、理解されるのを、待つのみです。

2014/06/28 07:15:33

極めれば師となる

のびたさん

一つのことに集中する性格 良くギャンブルにはまりませんでしたね(笑)
囲碁将棋は私はルールくらいでダメですが あの心を集中すること 次の一手への思考回路の数々
奥深いものです
小学校などで 取り入れること 大切な要素を秘めていると思います
その講師になること 素晴らしいです 極めたものだけが出来ることです

2014/06/27 21:44:57

それが実は

パトラッシュさん

アルゴンキンさん、はじめまして。
拙文をお読み頂きまして、ありがとうございます。

両親は、田舎から、東京に出た「一代目」でしたので、刻苦勉励の人でした。
そして、戦中戦後の、厳しい時代を生き抜いています。
遊蕩は、もってのほかでした。
しかし、不詳の息子は、その目をかいくぐり、遊びに奔ったというのが、実状です。

でも、親から受け継いだ財産を、食いつぶすことなく、今日まで、元気に生きて来ましたから、
両親も草葉の陰で、今は、苦笑いしていることでしょう。

2014/06/27 20:58:00

慣れ

パトラッシュさん

喜美さん、
おかげさまで、楽しい人生を送っております。
ついぞ、先生などと、呼ばれたことのない人生でしたので、戸惑いもありましたが、今は大分慣れました。

2014/06/27 20:49:55

花のある人生ですね。

アルゴンキンさん

ご両親は粋な生き方をさせてくれましたね。

子供等には色々なことを試みることが大切で、その中から自分に合うものと探し出し、また触れたものから学んでゆくと思っています。
私も三人の子供には出来るだけの挑戦を許しました。
こうした環境で育った人間は懐の深い者になって、人生を楽しんでいると感じております。

パトラシュさんの老年期は、子供の頃から蓄積してものが活用される、いわば『芸は身を助ける』ものになっていますね。

2014/06/27 20:15:40

今がある

喜美さん

道楽で世間を知って
幅広い人生送れたし それが実って
先生と崇められこんないいことありませんね 聞き分けのある先生でしょうね

2014/06/27 17:01:12

そうです

パトラッシュさん

秋桜さん、
若いころ、遊びを体験した人には、人間として幅がある。
奥行がある。
という風に、私は見ています。
秋桜さんには、人並みならぬ、豊かさがあります。
ということは、ただの仕事人間ではなかったと、かねがね、想像しておりました。
きっと、良いことがおありだったでしょう。
絵のことを、始めとして。

その絵を何時か、リアルで拝見したいと、思っております。

2014/06/27 16:37:51

道楽の薦め。

秋桜さん

可愛い子には道楽を・・・
芸は身を援く・・・の成功版ですね。

ほんとにあれこれ身銭を切って体験したおかげで
今がある!ということを再認識させていただきました。
実は、わたしもけっこう放蕩三昧(オーバー?)してきた
おかげで思いもかけなかったことに遭遇しています。
(いい意味で!)

道楽ばんざ〜いです。

2014/06/27 15:13:41

芸は・・・

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
息子さんの場合、正に「芸は身を助く」ですね。
きびきびした動作・・・わかります。
お母さんに似たのでしょう。
それに、物おじしないところも。
何でも、若い時にやっておくと、人生のどこかで、役立つことがあると思います。

2014/06/27 14:43:34

さて・・・

パトラッシュさん

彩々さん、
「父兄も参加できる」とは、素晴らしい案ですね。
校長に、提案してみようかしら・・・

さて、どうなるでしょう、当日は・・・
第一回は、七月十二日です。
教壇に上がったものの、こっちまで上がってしまい、支離滅裂にならなければ、いいのですが・・・

2014/06/27 14:38:31

いいですね〜^^

さん

囲碁・将棋が正規の授業になるのはとっても素晴らしい事だと思います。
頭も使い、礼儀も学べる、一挙両得です。
少しは国民意識も芽生えるかも?
普段はオリンピックやワールドカップやフィギュアスケートでもなければ日本という国を愛し誇りを持ってるとは言い難いですからね。

息子も道楽で就職果たしました。(経理ですが)
長年ダンスを続けた根性と姿勢の良さ、きびきびした動作が目を惹いて決まったと社長さんが仰っていました。

2014/06/27 14:03:29

パチパチ!

彩々さん

いや〜、パトさんにぴったりな仕事が回ってきましたね。

文部科学省の教育現場の教壇に立たれるとは、
うちの孫ッチの小学校にもそうした授業を
取り入れてくれることを希望します。
父兄も参加できる囲碁・将棋の授業を
作ってくれれば、亥の一番で申込みしたいくらいです。

若い人(若過ぎ)に混じって、張り切って
おられるパトさんがステキ!
楽しい授業になるんでしょうね。
健康に気をつけながら、あたってください。

2014/06/27 11:37:21

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