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パトラッシュが駆ける!

越後湯どころ酒どころ 

2015年04月03日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

寝台特急に乗り、旅に出たいと、思っていた。
しかし、思っているだけではだめだ。
この世は、川の流れの如くに、移ろうのであって、
ぐずぐずしているうちに「あけぼの」「北斗星」
「トワイライト」などが、相次いで姿を消してしまった。

新幹線のせいだ。
そして夜行バスの路線拡大も、響いている。
「速い」そして「安い」の前に、「ロマン」は脆くも、潰えたことになる。
こんなことなら、もっと乗ってやるのだった。
応援してやるべきだった。

山口瞳先生はえらい。
頽勢なもの、これは存続してほしい、と思うものに、
進んで肩入れをしていた。
日劇ミュージックホールが、お好きであった。
しばしば訪れていた。
地方競馬を、草競馬と呼び、全国の競馬場を、巡っておられた。
寝台特急もまた、遠距離旅をやる度に、利用されていた。

それに比べ、私はだらしない。
思っていて、実行をしない。
そうしては、後になって後悔をする。
そんなことの、繰り返し人生であった。

 * * *

私は越後へ行こうとしている。
仲間が居る。
だから新幹線にした。
とは言うまい。
私一人であっても、今や新幹線を抜きに、旅は企てられない。

一人旅と仲間旅との差。
それは、スケジュールが、組んであるかどうかだ。
私一人なら、事前に、綿密な計画など、立てない。
大まかに、行く先を決め、現地では、行き当たりばったりに動く。

連れがあると、そうはいかない。
宿はむろんのこと、立ち寄り先まで、決めておかねばならない。
それでは、面白味がない。
という考えもある。
しかし、気楽で良いとも言える。

かつて、アリナミンや山靴と連れ立ち、しばしば旅をした。
賑やかな旅であった。
列車に乗り込むや、それが朝の七時であっても、ビールを飲んだ。
目的地に着き、昼飯を食べる際にも飲んだ。
旅館に着いて、一風呂浴び、夕食となれば、もちろんのこと飲む。
旅に出ている間中、飲んでいた感がある

そのせいばかりでもないのだが、アリナミンは、三年前に死んでしまった。
山靴も、往年の元気を失っている。
私だけが、何とか健康を保ち、旅を続けている。
今回は、同行者が一変し、少し趣向の違う旅になるだろう。

上越新幹線「とき」は、東京駅のホームを、音もなく滑り出した。
時に11時前。
旅に出るには、異例に遅い。
しかし、飲み始めるには、絶好の時間だ。

早速ビールを開ける。
次いで、清酒に換える。
差しつ差されつしているうちに、高崎駅に着いた。
この間、たったの一時間。

ここで語句氏が乗り込んで来て、メンバーが揃った。
男が二人に、女性が二人。
このくらいの人数が、旅をするのに、まとまりがいい。
そして、女性が加わると、座が華やかになる。

酒のつまみにも、不自由をしない。
彼女らの持ち込んだ、ナッツだの焼き鳥だの、サラダ、
アスパラのベーコン巻やらで、
座席の一つが、居酒屋のテーブルのようになっている。
そうなのだ。
私達は、東京駅で車内に乗り込むや、空いているをこれ幸い、
三人掛けの席を向い合せにし、酒宴の場を作ってしまった。

女性の一人が、私を師匠と呼ぶ。
そんな柄ではない。
止めてくれと言うのだが、止めない。
文筆の仲間であり、皆さん、短編小説などを習作している。
それを、それぞれのブログに、発表している。
それでは物足らなくて、新人賞への応募へと、ターゲットを転じた者も居る。

過去にも、研究会と称する飲み会をやって来た。
それが一泊旅行へと、発展した。
泊まり込みで、研鑽に励む。
と言えば、聞えはいい。
気が付いたら、物書きが、恥掻きに変わっている。
その可能性の方が、むしろ高い。

高崎から30分、語句氏が、駆け付け三杯をやっている間に、
列車はたちまち、越後湯沢駅に着いた。
これが困る。
早過ぎる。
東京から一時間半である。
旅に出ている気が、ちっともしない。
だから、新幹線は嫌いだ。
ああ、夜行寝台が懐かしい。

 * * *

優美な旅館であった。
私にしては・・・と言っておこう。
何しろ、ここ数年、私はまともな旅館に、泊まったことがない。
安宿、木賃宿ばかりであって、そんなところへ、
本日同行している、お三方を案内したら、その汚さ、狭さに、
後ずさりするだろう。
その光景を、見てみたい気が、しないでもない。

「ようこそおいで下さいまして」
仲居さんが、丁寧なあいさつする。
私のような野人は、こういうのが、くすぐったくていけない。
こんな時に、チップをやるのかどうか、それもわからない。
世慣れた、連れの皆さんに、お任せするよりない。
私は、小さくなっている。

さっそく温泉に入った。
そして湯上りの、ビールだ。
こう言う時だけ、私は態度がでかくなる。
「おう、やろうぜ」
率先して、冷蔵庫へ行き、皆さんに、グラスをお配りする。

夕食時には、もちろん清酒だ。
越後は、名にし負う酒どころである。
料理もいい。
心行くまで飲んだ。

部屋へ引き上げ、今度は食後酒だ。
語句氏が持ち込んだ、ワインを開け、たちまち空にした。
そう言えば、私達は、湯沢駅構内でも、立ち飲みをやっている。
「ぽん酒館」なる試飲コーナーがあり、地元産の清酒、
九十数種が並んでいた。
この中から、好みの酒を選んでは、少量ずつ、試し飲みを行った。

朝から、どれだけ飲んだのか、これがよくわからない。
なにしろ、回を重ねている。
総量、それが問題だ。

しかし、飲んでしまったものは、仕方ない。
私達は本日、非日常の世界にいる。
今さら、反省などしない方が良い。

惜しむらくは、もう少し遠方がよかった。
東京から、たったの一時間半。
これが、越後湯沢における非日常性を、少し淡いものにしている。
                (次号に続く)



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土佐の思い出

パトラッシュさん

山すみれさん、
ありがとうございます。
土佐路には、懐かしい思い出(苦しい思い出)が
いっぱいあります。
一方で、土佐人の人情にも助けられました。
土佐久礼で食べた、メジカの新子、美味かったなあ・・・

2015/04/10 14:52:57

コメントと

山すみれさん

拍手
ありがとうござました。

風に吹かれて遍路道

図書館で借りて
読ませていただきます〜♪

2015/04/10 08:37:37

コメントと

山すみれさん

拍手
ありがとうござました。

風に吹かれて遍路道

図書館で借りて
読ませていただきます〜♪

2015/04/10 08:37:36

次号にて

パトラッシュさん

Reiさん、
これでも一応、リレーのアンカーのつもりです。
皆さんと重ならないようにと、気配りしつつ、書いています。
しかし、感動したところは、皆同じ。
結局、似たような文になってしまいますね。

こうなったら、酒で押して行くよりないと・・・(笑)

八海山の好きな、Reiさんを、連れて行かなかったのが、悔やまれます。
八海山でも、いろいろな酒が出ています。
私は、米焼酎の「八海山」を買いました。
これがまた、うまいのなんの・・・

その模様は、次号に書くつもりでおります。

2015/04/03 21:04:36

次の機会に・・・

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
やりますね。
思い立って、ひょいと越後へ行ってしまうなんて、
なかなか出来ることではありません。
新幹線に乗ってしまえば、あっと言う間ではあるものの。
12月は、新雪だったでしょうね。
私達の場合は、残雪でした。
しかし、真冬の豪雪は、容易に想像出来ました。

シシーマニアさんが、東京在住であったなら、お誘いしたところでした。
物書き仲間には、ぴったりの方ですから。

2015/04/03 20:57:53

これからも・・・

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
今日は、夕刻から、国会前に行き、先ほど帰りました。

あれ、何で訂正なんだろう。??
別にかまいませんけれど・・・

一人旅も、いいものですよね。
しかし、仲間旅も捨てがたい。
結局、両方良いのだと思います。
「行ける時が花」ということも言えます。
周辺から、あちらへ旅立って行く友人が多くなると、余計にそう思います。

悔いのないように、精々、旅に出ようと思っております。

2015/04/03 20:49:30

訂正です

さん

最初の一行削除して下さい。
全く、推敲どころか、見直しもしない不肖の押しかけ弟子です。m(__)m

2015/04/03 18:41:06

楽しそう♪

Reiさん

さすが物書き仲間の旅ですね。
色んな角度からのアップが楽しいです(^^)

師匠は、ひたすら飲む方からのアプローチですね。
注目する所がそれぞれ違うのも、勉強になります…なんて、殊勝にメモを取っているわけがない私です(>_<)

2015/04/03 16:35:42

そうだ、越後、行こう

シシーマニアさん

越後湯沢は、急に雪が見たくなって新幹線に飛び乗った、12月のある日を思い出しました。
「トンネルを抜けると」本当に雪国だったのが、感激でした。
一人で温泉街を歩いたり、スキー場の方へ向かう路線バスに乗ったり、白雪を堪能しました。
主婦の思いつきだったので、飲んだのは帰途の車中位だったのが、残念といえば残念。
酒飲み仲間の旅は、エンドレスで楽しいですね。素敵なお仲間に囲まれて、このテーマの文章もエンドレスになりそうな気配でしょうか・・?

2015/04/03 16:15:36

10回は

さん

一人旅、もう10回は行きました。
私は猫型人間なので、自由気ままが好きです。
友人との旅も勿論楽しいですが、古のロマンや紅灯の陰に散った儚い恋などに思いを馳せている時、「ねぇ、お昼は何食べる〜?」なんて聞いたり、寄りたくもないお土産処行脚も辛く、もう10回は一人であちこち旅しました。
一人だからこそ、地元の路線バスに乗ったり、土地の方と話す機会も多くて楽しかったですが、一献傾けるときは連れがほしいですね〜

でも、越後の旅はとても楽しくて、帰ってからも余韻に浸りました。
師匠は、紳士的でしたが、お顔がほころんでいたように思いました。^^

2015/04/03 14:48:58

そうなのです

パトラッシュさん

彩々さん、
実はそうなのです。
美女お二人を前にして、東京駅からもう、上がりっ放しでした。
浴衣すがたとなれば、なおさらです。
何を話してよいか、固くなっておりましたよ(笑)

2015/04/03 14:39:16

意外

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
女性の一人旅は、ハンディがあります。
連れのあった方が、何かとよろしいでしょう。
旅に出たくなったら、声をおかけください。
虫よけ係くらい、務めますから。

当日、はしゃいでおりましたか?
当人は、なるべく静かにしていたつもりなのですが・・・

2015/04/03 14:35:06

異様かも・・・

パトラッシュさん

喜美さん、
あの北斗星にお乗りになったのですか・・・
羨ましい。

確かに、暗闇の中を走っていることもありますね。
それもまた、よし・・・話の種にはなりますね。

私達の呑兵衛ぶり、飲めない人が見たら、確かに驚きの光景かもしれません。
当人たちは、ごく普通だと思っているのですが・・・

2015/04/03 14:26:41

仲間酒

パトラッシュさん

Yさん、
一行の中の、最年長が私です。
それが率先して、やんちゃをやっております。
「たまには、いいでしょう」と言い訳しつつ。
一人酒もいいですが、仲間酒も悪くありません。

2015/04/03 14:21:46

謎が解けました!

彩々さん

同行させていただきました者ですが(笑)

旅館での夕食時に撮った写真があります。
いつも良寛さんみたいな穏やかな表情を
されているパトさんの表情が硬いのです。

>何しろ、ここ数年、私はまともな旅館に、泊まったことがない
  ↑
原因は、あの美味しいお料理を前に
緊張されていたのですね!?
それとも浴衣姿の美女を前の緊張だった
のでしょうか??

2015/04/03 12:00:05

旅のロマンはなかったけれど

さん

パトラッシュ師匠 こんにちは。

私も自由気ままな一人旅は好きですが、女性ですから、普通の宿は(笑)決めて行きます。
その他は気分次第ですが・・・
観光地を巡るツアーだけは苦手です。
夜行列車には、北斗星みたいな高級でなくても、一度乗ってみたかったですね。

さて、越後の旅、私は楽しかったです♪
でも、一番はしゃいでいらっしゃるのが師匠だとお見受けしましたが。(笑)
飲んでいても、数々の気配りも、感服いたしました。

2015/04/03 11:59:39

無い物ねだり

喜美さん

私は前に待望の北斗に乗りました
食堂は素敵でしたけれど 高級レストランに行けばそんなのたやすい
シャワーが時間で決まっているので
ケチな私はその時間内でと洗う間は止めておいた
景色は夜景の綺麗なうちは良いけれど
夜更けは真っ暗 二人部屋でも我が家の方が寝心地良い 唯こんな経験はしない人よりした方が話のタネかしら

皆さんには驚き 誰一人酔った顔もせず
平然と飲み続けるのね
私の近くの人は少し飲んでも赤くなる
眠る 何言いだすかわからない 聞き取れない人ばかりでしたからただ降参。

2015/04/03 11:41:44

いいなぁ、旅に雪の酒処

さん

兄世代が元気で、やんちゃしている光景は
頼もしい限りです^^
一人酒もいいものですが、
宴ほど、此の世に楽しいものなしですね。
此の世は祭りごと、騒いで励みましょう^^

2015/04/03 11:22:19

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