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私家版・日豪の比較文化人類学 〜群れから抜け出した羊が見たもの〜

6−3 植物の楽しみ 

2010年11月29日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

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<b>ベンジャミンに実が成った</b><br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/832549/img_832549_33636513_0?1291017096" alt="イメージ 1" class="popup_img_370_277 clearFix alignRight"> 私たちが初めに住んだバデリムの家の庭には椰子や竹、亜熱帯の草花がまるで植物園のように植栽されていて本当に気持ち良く過ごしました。この庭には高さが10辰砲發覆蹐Δという1本のベンジャミンの大木があって、張り出した枝が心地よい木陰をつくっていました。日本では観葉植物として室内で育てる木がここでは幹の周りが一抱え以上もある大木になることに驚きましたが、5月から6月の頃、枝に親指の先ほどの実を付けるのを見て更にびっくりしました。果実は食べられるか試してみたところ、イチジクのようでしたが甘くなく、少し食感が悪くてダメでした。でも、鳥たちは実が黄色からえんじ色に熟してゆくのを良く知っていて枝がたわむほど止って啄ばんで行くのです。この実は少しやっかいで、熟すと庭に落ちて腐ってしまいます。雨が降ればベトベトして上を歩くこともできません。放置しておけば土に還って行き、木自身の肥料にもなるのでしょうけれど、時々熊手で掃除をしたものです。<br />
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 日本で見られるのと同じ植物も多いのですが、亜熱帯の土地だけあって珍しい草花や花木も多様で散歩していてもとても楽しみです。そして、季節に関係なく年中何か花が咲いていて名前を覚えるのも大変です。妻の雅子は生け花の材料になりそうな植物に目が行くようで、7月頃八重の桃の花を見事に咲かせている近所のお友達の家を訪ねて、持ち切れないほどの枝をいただき、お茶までご馳走になって来ました。その桃の花はブリスベンで開かれた生け花インターナショナルの展示会に出品して日本的な生け方を喜んでもらいました。数少ない花材を見つけたり、こちらの植物を代用したりして自分のスタイルの花を生けるのも楽しみのひとつのようです。<br />
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<b>緑のトンネル</b><br />
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 バデリムを走ってみるとすぐに気が付きますが、街路樹の枝が自分の木の背丈より幅広く横に広がり張り出していて、道路がまるで緑のトンネルのようになっているのです。この木は「私たちが住んだバデリム」でご紹介したロイヤル・ポインシアーナ、日本名で鳳凰木と呼ばれる大形の花木で、クリスマスを前に11月頃から樹上に緋色で5弁の大きな花を付けます。バデリムはこのポインシアーナがとても多く、地区の景観の特徴になっていることでも良く知られています。日差しの強い日に街を歩く時、このポインシアーナの木陰はありがたく、とても心地良いのです。<br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/832549/img_832549_33636513_1?1291017096" alt="イメージ 2" class="popup_img_277_370 clearFix alignLeft"> 花が咲いていない時期にこのポインシアーナと区別がむつかしい姿の木にジャカランダ、日本名キリモドキがあります。共に極小さな葉が並んだ葉が更に並んで一枚の葉を形成する二回羽状複葉ですがポインシアーナはマダガスカル原産のマメ科の植物、ジャカランダはブラジル原産のノウセンカズラ科の花木で、日本名火炎樹と呼ばれるアフリカン・チューリップ(西アフリカ原産・ノウセンカズラ科)と並んで熱帯の3大花木と呼ばれています。<br />
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 この3種類ともバデリムでよく見かける木ですが、私はジャカランダがとても好きです。10月頃に咲き出すジャカランダの花は薄いブルーの筒状で、抜けるような青空と淡い緑の葉をバックに咲く様子は感動すら覚えます。そして、咲いては散り、散り積もった花で地面がブルーに染まる様子は姿、形こそ違いますが日本の桜の風情があって愛おしいものです。このジャカランダの花が終わると入れ替わってポインシアーナが咲き始めるのです。<br />
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<b>早春のカリムンディ</b> <br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/832549/img_832549_33636513_2?1291017096" alt="イメージ 3" class="popup_img_277_370 clearFix alignRight"> 私たちの日本語教室の生徒、ジルさんは高齢ですが植物などの自然に造詣が深く、自治体が行う様々な自然保護の活動にもボランティアで参加しています。家から車で20分ほどの所にあるカリムンディ自然保護公園で早春の9月、ワイルド・フラワーの観察会が開かれジルさんもインストラクターを務めるというので私たちも参加してみました。<br />
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 一方を海、一方を湖に接したカリムンディ自然保護公園は地道の遊歩道と最小限の案内看板だけが人工の施設で、野生の花々の完璧なサンクチュアリとなっています。私たちはジルさんが引率する10数人のグループに入って、花の名前や番号などのプリントと実際の花に付けられた表記を照らし合わせながら、またジルさんの説明を聞きながら園内を歩き回りました。<br />
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 オーストラリアでは独特の野生植物が多く見られますが、この時期の花々はまた格別。姿や色は様々ですが数百種類もの花が一斉に咲き出すその美しさに感激してしまいます。あまりの種類の多さに名前を覚えることも出来ないほどでしたが、中でもピンクの小さな釣鐘の形をした花を付けるボロニアは可憐で私たちのお気に入りとなりました。<br />
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 観察会では、準備よくルーペを用意して極小さな花を観察する人、カメラに収める人など楽しみ方は様々ですが、やはり花の時期は人々をハッピーにするようで日本人もオーストラリア人も同じです。<br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/832549/img_832549_33636513_3?1291017096" alt="イメージ 4" class="popup_img_370_277 clearFix alignLeft"> また、ブリスベンから西に140舛曚鋲睥ι瑤貌?辰織肇ァ璽Ε鵐个粒垢任亘菁9月の下旬にフラワー・カーニバルが開かれます。このカーニバルは春の花ばかりが主役ではなくてワインのお祭りなどもあって各地から多くの観光客が訪れます。私たちも1泊の小旅行でこのカーニバルに行ってみましたが、公園の花壇は春の花々が一斉に咲きだし見事な模様を作り出していて大満足。花に囲まれてハッピーな時間を過ごしました。<br />
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 また、このカーニバルでは民家の庭の花作り、ディスプレイのコンテストも行われ、その入賞したお庭を見て回るバス・ツアーも大変な人気です。まるで植物園のようなお宅から個人でこまめに育て上げた愛らしいお庭までそれぞれの個性があって、これも花を育てる人々の気持ちが伝わって来て、至福の一日となりました。<br />
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<b>個性的な植生</b><br />
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 先程のポインシアーナにしてもジャカランダにしても1本1本の木、個体によって様子が大変異なります。例えば、同じ所に並んでいる同じ種類の木でも落葉する木とそうでない木、花を付ける時期がずれて片方は樹上にいっぱいの花を付けているのに片方は枝の一部だけに申し訳程度に花を咲かせている木、マメの鞘をいっぱい付けるものとそうでない木などの違いがあるのです。日本の桜は場所と種類が同じであれば、同じ時期に一斉に花を付け、皆そろって散ってゆきますね。紅葉したり落葉したりするのも右に倣えです。<br />
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 日本人の私などジャカランダやポインシアーナが咲く頃、「どの木も一斉に咲き出したら見事だろうになあ」と思います。でも、この国の木々もこの国の人々と同じように個性的なのかなと思い直したりすると、その考えに自分自身苦笑してしまうのです。<br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/832549/img_832549_33636513_4?1291017096" alt="イメージ 5" class="popup_img_262_350 clearFix alignRight"> サン・テグジュペリの『星の王子さま』に悪役で登場するバオバブの木は幹が寸胴だったり徳利のように膨らんだりした個性的な姿で知られていますね。アフリカのバオバブは幹の直径が10叩⊆?陲5000年以上のものがあると言います。私はこの木はアフリカにしかないと思い込んでいたので、西オーストラリア州で見られると聞いた時は、わざわざアフリカから移植したのだろうと思っていました。しかし調べてみると、バオバブはアフリカ以外にマダガスカル、インド、それにオーストラリアにも分布していることが分かったのです。そして、アフリカ、オーストラリア、南米、それにインドなどは2億5000万年前ゴンドアナ大陸と呼ばれる1つの大陸となっていたのが1億5000万年前に地殻変動で別々に分かれたことを知りました。かつて陸続きだったのなら、分離した後にも同じバオバブの木があって不思議ではありませんね。<br />
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 このバオバブと良く混同されるボトル・ツリーと呼ばれる木があちこちに植えられているのを見ます。幹が徳利のように膨らんでいてオーストラリアン・バオバブとも呼ばれているので本物のバオバブと間違えてしまいますが、これはクィーンズランド州原産のアオギリ科の木で別物です。でも、特異な姿のオーストラリアン・バオバブを見るたびに、このような太古からの悠久の歴史を思い出すのです。<br />
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<b>驚きの生命力、ユーカリ</b><br />
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 「オーストラリアと言えばコアラ。コアラと言えばユーカリ」、ユーカリはこの国のシンボルとも言えるほどの樹木です。たしかに、ドライブすると高速道路の脇でも山の中でもユーカリの木はいたるところで見られ森林の主役となっています。しかし、ユーカリは樹高数10辰發△襪發里ら低木まで多様な姿があり、500から700もの種類があって外見だけではとても区別できないほどです。このうちコアラが食べるのはほんの15種類ほどだと言います。<br />
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 このユーカリはユーカリプタス(Eucalyptus)というのが本当の名前ですが、オーストラリアではガム・ツリーと呼ばれることの方が多いようです。ガムはゴムと同じことで、本来は粘性の樹液を指しユーカリにこの樹液があるものが多いのでこのように呼ばれているのです。また、ユーカリの葉には揮発性のオイルが含まれていてこの精製品を常備している家庭が多く、拭き掃除用の水に一滴落として使ったりします。日本ではアロマセラピーに愛用する人が増えてきたそうです。<br />
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 このユーカリ・オイルと良く混同するものにティー・ツリー・オイルと呼ばれるエッセンシャル・オイルがあります。名前からするとお茶の木から採れるように思いますが、これは東海岸のニュー・サウス・ウェルズ州からクィーンズランド州にかけての低湿地に分布する高さ6辰曚匹砲覆觴?擇如△茶の木とは全く別ものです。このオイルには優れた抗菌・抗真菌の作用があり、近年抗生物質に対する耐性菌が問題になっている中、再び注目されつつあると言います。これもオーストラリアの家庭の常備薬です。<br />
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 話はユーカリに戻って。森林の大部分を占めるユーカリが発散するオイルは相当な量で、時には辺りの空気の色が変わって風景が青く霞んでしまうほどです。シドニーの内陸部の高原にブルー・マウンテンズという人気の観光地がありますが、その名前もユーカリのオイルが作り出すブルーの山々から付けられたと言います。<br />
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 この国にはブッシュ・ファイアー(山火事)が頻繁にあり、時には人家に燃え移ったり甚大な被害が出ますが、燃えやすいユーカリのオイルも原因のひとつです。我家のテラスから見下ろす遠くの森林から煙が上がっているのを良く見かけますし、焼けて舞い上がった木の葉が敷地に落ちて来ることも度々経験しました。ブッシュ・ファイアーがあった森林は木々が黒こげの荒涼とした土地となりますが、季節が巡って来ると下草が生え、何と黒焦げのユーカリの木から緑の新芽が出てくるのです。そればかりか、火事の熱によって初めて種子がはじき出され、やがて芽を出す植物もあるのです。焼けた森林は温暖な気候と相まって数年で再生すると言います。<br />
 自然の摂理、不思議を感じずにはいられません。<br />
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