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パトラッシュが駆ける!

鏡に映る 

2015年11月08日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

四人の男が、一つテーブルを囲み、寿司を食べていた。
それぞれの前に、ビールのジョッキが立っている。
「安倍のやつめが・・・」
卑称を用いて呼ぶのは、きっと我が国の、総理大臣閣下のであろう。
こき下ろしている感がある。
その声が、5メートル離れた、私達の席にも届く。

政治家は因果な商売だ。
そのスタンスの置き方で、置かれなかった側の国民から、不評を受ける。
万人に愛される政治家なんて、居ないとしたものだ。
安倍さんに、同情しているわけではない。
それどころか、私だって本当は、あの人を嫌いなのだ。

「パククネなんて、あんなもの・・・」
話は外国に転じたようだ。
韓国との軋轢に、話が及んでいる。
そりゃ私だって、韓国や中国を好きにはなれない。

「オバマは結局、日本と韓国をだな・・・」
今度は、アメリカ合衆国大統領だ。
次々に要人を、やり玉に上げて行く。
四人が交互に喋るから、話の途切れることがない。
常に誰かが憤慨し、時に罵倒に及んだりする。
酒に切り替えたのであろう。
ジョッキが姿を消し、今度は盃が並んでいる。

居酒屋ならいい。
ここが寿司屋だから、少々困ったことになっている。
せっかくの寿司を、落ち着いて味わう気分にならない。
5メートルあるから、唾はさすがに、飛んで来ないけれど。

安い寿司屋なのである。
ランチタイムは、数で勝負する店と思われる。
そのワンテーブルを占拠したまま、彼らは容易に席を立とうとしない。
遅れて入った、私達が先に、店を出ることになった。

しかしながら、彼らに対し、私が腹を立てているわけではない。
苦笑するに止めている。
気付かぬうちに、私も同じことをやっている可能性がある。
鏡の中の、おのれを見たような気分になっている。

 * * *

九十三歳の女性が、ひき逃げをやった。
衝突され、バイクを転倒させられた高校生が、意識不明の重体となっている。
「気が付きませんでした」
容疑者が供述しているらしい。
そのくせ、しゃあしゃあと、車を修理に出しているそうだ。

その年齢で、よく運転をやっていたものだ。
よく免許を、更新出来たものだ。
よく家族が、制止しなかったものだ。

思いがけない事故が起きると、私は運転者の年齢を見る。
それみろ、やっぱりだ・・・
アクセルとブレーキを踏み間違え、スーパーに車が突っ込んだ。
高速道路を逆走した。
車が、電車の線路に侵入し、数百メートル走った。
これらが皆、高齢ドライバーの仕業だ。

その運転ミスにより、死者が出る。
それが幼児だったりする。
若者だったりする。
話が逆だろ・・・
先に死ぬべきは、お前だろ・・・
私は、テレビの画面に向かい、思わず叫んでいる。

高齢者の免許更新に際し、ハードルを高くせよ。
これを常々主張している。
短文にまとめ、新聞に投稿したこともあった。
何度もあった。
一度として、載らなかったけれど。

そりゃそうです、新聞は社会の木鐸、交通弱者のことも、
考えているからです。
都会は知らず、田舎では車がないと、生活が成り立たないのです。
と教えて下さる向きもある。

それはまた、別の問題だろ。
過疎地の問題は、運転免許とは、別の方法で解決を図るべきだろ。
私はそこでも、吠えまくっている。

何がそこまで、私を憤らせるか。
痛烈な義憤に、至らしめるか。
私に自信があるからだ。
私は既にして、免許を返上してしまっている。
事故を起こした私自身を、鏡の中に見る可能性がないからだ。

 * * *

「人間と言うものは、病的な自己愛の持ち主でない限り、
鏡の中の自分の顔や、テープに再現された自分の声を、
冷静に見たり聞いたりすることが出来ない。
つねに多量の、もしくは微量の嫌悪感がつきまとう」
ということを、司馬遼太郎さんが語っていた。

鏡に映っているのが、我が身と似ているだけで、私は、嫌悪感を抱く。
抱きつつ、しかし、批判は出来ない。
おのれとは、はっきり違う。
別人だ。
異人種だ。
という時だけ、俄然張り切る。
その醜行を見るや、ここを先途と、厳しく糾弾する。

司馬遼太郎さんは、こうも言っている。
「但し、人間は、自己を嫌いなままで、三日も生きて行けない」
そうなのだ。
私が、自分を嫌いなままで居られるのは、精々一時間だ。
鏡の中に、たまたま自分の貧相を見ても、須臾にして忘れる。

これが、生きて行く上で、幸いだったかもしれない。
いや、そうとも言えない。
だから、お前と言う人間には、清雅が足らないのだと、こう思わないでもない。



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困ったものです

パトラッシュさん

秋桜さん、
お読み頂きまして、ありがとうございます。

何度も繰り返される悲劇。
自主返納が期待できないなら、法律で厳しく制限するよりないと思うのですが、それも遅々として進みません。
事故が起きる度に、慨嘆しております。

2015/11/14 07:10:25

憤怒の気持ち

秋桜さん

同感です。

超高齢者が無謀な運転に
よって引き起こす事故。
わが身だけが犠牲になるなら
まだしも、未来のある
若者を巻き込むのは許せないです。

2015/11/13 21:27:35

投稿してみませんか

パトラッシュさん

我太郎さん、
そのご主張は、現実的で、社会に受け入れられやすいです。
全面的に賛成です。
短文にまとめれば、新聞に載るかもしれません。
我太郎さん、やってみませんか?

2015/11/08 16:07:43

あと十年は

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
貴女の運転は、まだまだ大丈夫。
十年後、息子さんに判定してもらえば、OKでしょう。
私が試験官を務めてもいいけど、少し厳しいかも・・・
文章の添削と同じくらいに・・・(笑)

2015/11/08 16:03:37

急がない、それが正解

パトラッシュさん

ばばたまさん、
そうです。
心構え、これが大事です。
入念にも入念に・・・
これで事故の多くは、防げると思います。
事故を起こす人は、心のどこかに、ゆるみがあるのだと思います。

2015/11/08 15:58:08

そうです

パトラッシュさん

喜美さん、
旦那様はえらかったです。
己を知るとともに、家族のことも、しっかりと考えていた人なのでしょう。

喜美さんのおっしゃる通りです。
スピードの出ない、短距離用の車を作るのよいと思います。

2015/11/08 15:55:54

池袋会議

パトラッシュさん

reiさん、
若くないですよーもう。
鏡を見るのが、オソロシイです。

宿題のことは、当日会議の席で決めましょう。

2015/11/08 15:51:50

高齢者対策

我太郎さん

人それぞれに能力差は有り難しいですが、年齢制限は設けるべきと思います
なら幾つか?
100歳でも走っている人もいるようですが、80歳くらいかな

>過疎地の問題は、運転免許とは、別の方法で解決を図るべきだろ。

ごもっともです
高齢者仕様の車を開発して公的に援助し、地域限定免許制にしてはどうでしょう
買い物や医療に出かける範囲しか乗れない(原則1行政区画のみ)、大きさは軽四仕様、スピードは時速40km以上は出ない
ペダル踏んだら前進、離せば停まる、チェンジはバックのみ、シンプルにすれば如何でしょう

2015/11/08 11:44:48

鏡の中の己

さん

パトラッシュ師匠 おはようございます。

鏡の中の己、私も正視できません。
この例えも「なるほど」です。

ただ、免許に関しては、先日ブログに書いたように、客観的に息子に判断して貰い、潔く返納するつもりでいます。

ただ、行政は車が無くても暮らせるシステムを早急に作らなければなりませんね。
人は便利な生活に慣れてしまうと、中々それを手放しませんから。

2015/11/08 09:48:39

考えさせられます

さん

高齢者の事故を見るたびにいつか自分がアクセルとブレーキを間違えるかもしれないことは心にあります。
運転席に座ったときエンジンをかけてアクセルとブレーキを確かめます。
絶対に急がないでいいようにゆとりを持って出発します。
でも70歳ぐらいで止めようかなとは考えます。

2015/11/08 08:57:14

運転

喜美さん

本当に危ないです 主人は仕事柄40年
事故しませんでしたし慎重な人でした其れでも始めて病気した時すぐやめました
私には運転させませんでした もしものことがあったら運転手さんに何とも弁解も出来ない 世間様にも顔向けできない(私の体ではないの)娘も免許は取りましたけれど結婚するまでペーパードライバーでした
免許は若い方の年齢は決めて老人の制限はないのが不思議です
田舎で車がないと不便な所は
スピーとの出ない荷物が積める小型車にして元気なシニアは乗る資格を与えたらいいのに

2015/11/08 08:31:35

安心してください

Reiさん

師匠は、十分にお若いです。
そして、素敵です(^^)
私に無理な宿題を出さない限り…

2015/11/08 08:23:46

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