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パトラッシュが駆ける!

大嘘小嘘 

2016年05月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

公園内の様子がおかしい。
何時も、ラジオ体操が始まる前には、十人ほどが集まっているのに、
今朝はまったく、人影がない。

もっとも、人が居ようが居まいが、私には関係がない。
私は、ラジオ体操には加わらない。
いつも彼らを尻目に、鉄棒にぶら下がり、懸垂をやる。
それが日課で、毎朝やって来ている。

公園からの帰り道、足を伸ばして、フミさんの家の前を通る。
これも日課だ。
彼女最近、犬を飼い始めた。
生後数か月の幼犬である。
これが臆病であり、世間を怖がり、未だに遠出が出来ないでいる。
フミさんが、それを憂慮し、毎朝、家の周辺に連れ出し、
外の風に当てている。
世間に馴れさせようとの親心だ。
私は、そこへ行って、その馴致の手伝いをやる。
手を舐められ、顔を舐められ、時に唇さえも舐められてやる。

しかし今日に限り、ここでも人影がない。
犬も見えない。
もしやと思い、時計を見た。
いつも通り、六時半を過ぎたところだ。

いや待てよ。
今一度見て、アッと思った。
短針の位置がおかしい。
もしや、五時半ではないかと思ったら、案の定だ。
ものの見事に、一時間間違えている。
舌打ちと共に、カタカナの二文字が浮かんだ。
脳機能の衰微を表す俗語である。

いや、大袈裟に考えることもない。
単に、錯覚とすることも出来る。
このところ、夜の明けが早くなっている。
窓の明るさだけでは、時刻が推定できなくなっている。
睡眠が十分ということもある。
眠気が残っていない。
だから、早くに布団を出たところで、違和感というものがない。

問題は時計だ。
これをろくに確かめなかった。
置時計、柱時計、腕時計……
時計なんかいくらもあるのに、それを全て上の空で見ていた。

その上の空が問題だ。
それを私の、軽微な失策と見るか。
それとも脳の劣化の、これが始まりであり、今後悪化の一途を辿ると見るか。
この辺がわからない。

「今日はどうしたの?」
朝食の時に、妻に聞かれた。
彼女は寝床の中で、気付いていたに違いない。
亭主のやつ、今日はまた異例に、早起きをしたもんだと。

「夜中に閃いたことがある。一刻も早く書いてしまおうと、朝を待ちかねていた」
書きかけの文のせいにして、本当のことは、言わなかった。
言えば軽侮される。
呆れられる。
今後のことがある。
きっと、事あるごとに、小うるさいことを、言われるであろう。

朝食時のテレビでは、各局ともワイドショーをやっている。
コメンテーターがしきりに喋っている。
「ウソをついてはいけません」
彼は教育評論家であるらしい。
ウソをついたばかりの私には、ほんのかすかな慙愧がある。

テレビには、別の顔が大写しになった。
要職にある人だ。
どうやら評論家は、この人に向かい、諫言していたらしい。

それは、ぐるり記者団に取り囲まれた、いわゆる釈明会見であるらしい。
釈明する要職者が責められている。
これを見る、スタジオのコメンテーターから、様々な意見が出される。
ここを先途と糾弾されている。
地位高ければ、風当たりも強し。
彼は大変だなあと思う。

私は、一介の市民でよかった。
女房に対し、方便でウソをつく。
何食わぬ顔をする。
その程度のことだ。
私の失敗は、たまたまのことであり、この先の大事には、至るまい。

しかし、テレビに映っていたあの顔だ。
見ていると、つい別の言葉が浮かぶ。
卑語俗語が、幾つも浮かぶ。
その卑語を、彼の職名であり、同時に尊称ともなり得る、漢字の二字に被せる。
そうして語尾に「め」と付ける。
それは、見下げて言う時の接尾語であり、漢字なら「奴」と書く。

その連語の収まりがいい。
罵るに際し、ぴたりと決まっている。
彼の場合は、ウソをついたがために、既にして、大事に至っている。
人間、正直な方がいい。
私も次回からは、なるべく正直に言おうと思っている。



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そうですよ

パトラッシュさん

喜美さん、
おっしゃる通り、ありのままが、一番いいのです。
ウソなんかつくものではありません。
取り繕うのに、苦労することになりますから。

鉄棒、今でも毎朝やっています。
これくらいしか、自慢出来ることがないのです。
やっていると、案外続くものです。

2016/05/21 18:25:47

喜美さん

もう嘘も付けません
嘘つくのも頭がいるわ
こういわれたら次は こう答弁しようとか 色々考えるのも頭が働くでしょう
其れも面倒になり憎まれようと
怖いものなし ありのまま話しますね
それから鉄棒今でもできるのですか
私昔から出来ません 自慢じゃないよね

2016/05/21 18:19:28

正直一途

パトラッシュさん

シシーマニアさんの真骨頂は、ここにあるのだと思います。
妙に巧言を用いるようになったら、貴女が貴女らしくなくなります。
このまま、まっすぐにお進みください。

私の場合は、書くことが全てです。
ことが起きれば、得たりや応と、ネタに使い、
それも膨らませて書いてしまいます。

「怪しからん」と、そのうち、告発者が現れないとも限りません。
(私はすぐに、謝ってしまいますけれど)

2016/05/21 14:08:41

怒り新党改革

パトラッシュさん

吾喰楽さん、
夢や勘違いは、落語のネタに絶好です。
私の体験も、膨らませて、うまくまとめれば、落語になるかもしれません。
その場合、都知事はむしろ、邪魔ですね。
皆さんが、怒り心頭の場合は、かえって笑にはなりにくいものです。

2016/05/21 13:57:05

一時間のミス

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
個人的営為のなかではまだしも、そこに人が絡んでくると、一時間の齟齬は大問題ですね。
そりゃ、奢らねばなりますまい。
それこそ、特上の寿司でもステーキでも。(笑)

懸垂できるのです、私は。
階段の二段上りと共に、これが私の自慢です。
何なら今度、お目にかけましょうか?(笑)

2016/05/21 13:51:39

役者やのう。

シシーマニアさん

私は、基本的に嘘がつけないタイプですので、臨機応変に答えを作り上げられる人は、ちょっと羨ましいです。
創作の一環ですよね。

まあ、くだんの政治家の場合は、嘘と言えるのかどうかわかりませんが・・。発端は内部告発だったそうですから、人望に問題があったのだと思います。

師匠の創作は、告発どころか、心待ちにしている人が多いですよ。
舞台で、ミスをした役者さんが、とっさに対応するのに似ていますね。

2016/05/21 10:24:30

芝浜

吾喰楽さん

おはようございます。

時間を間違え、早く起きたとは。
落語の芝浜を、思い出しました。
もっとも、落語の場合は、女房が間違えたのですが。
その女房が、機転の利いた嘘をつく。

懸垂とは素晴らしい。
私は、吊るしアンコウです。

2016/05/21 09:50:05

嘘も色々

さん

パトラッシュ師匠 おはようございます。

私は、遥か昔、40代の頃に、どうした訳か、1時間勘違いして、友人を待たせてしまった事があります。
携帯を持っていない人で、彼女の自宅に連絡したり、大変でした。
勿論、その日は、私の奢りです。
以来、気をつけています。

今日、感心した事が一つ。
懸垂できるなんて、素敵です♪
私は小学生の時、一回もできなくて、担任の男性教師に「干し烏賊」と言われたのを、未だに覚えています。

嘘も色々あります。
他愛無いことだから、無難に躱す嘘。
相手を思いやる、優しい嘘。
身勝手な釈明の嘘。

ばれた時に、笑える嘘がいいですね。

2016/05/21 09:36:27

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