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パトラッシュが駆ける!

今回の朝ドラ 

2016年10月08日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

季節の変わり目でもあり、この際、ゆっくりと、
亡妻を偲びたかった。
思い出を、たくさん残してくれた。
あんないいやつは、居なかった。

少し休んで、新しい人生へ、踏み出そうと思っていた。
それなのに、没して数日後には、もう次の嫁さんが、来てしまった。
あれよあれよという間に、押し掛けて来た感がある。
気が付いたら、同居が始まっていた。

彼女とは、何となく、馴染めないように思われた。
それもそうだ。
余燼冷めやらぬ感がある。
先妻の思い出が、まだ生々しい。
しかし、仕方ない。
何時までも、古い思い出に、しがみついてはいられない。

気を取り直し、彼女を見ていたら、意外にも、親しみが湧いて来た。
三日、四日と経つうちに、新しい妻だって、まんざらではないと、思えて来た。

しかし、こうも簡単に、先妻を忘れてしまって、よいものだろうか。
いかにも情(じょう)がない。
節操もない。
そこに少々、慙愧が湧かないでもない。

朝ドラが終り、新しい朝ドラが始まる。
四月、そして十月の初めである。
その度に私は、如上のような感慨に襲われる。

最初は何時も、戸惑いがある。
しかし、それも、一週間ほどだ。
私は、熱しやすく冷めやすい性格なのかもしれない。
すぐに新しい、朝ドラと、仲睦まじくなっている。

朝ドラを見続け、もう四十五年になる。
結婚以来だから、その年数は、すぐに分かる。
丁度朝食の時間に当たるから、我が家では、
朝飯ドラマということになっている。

十年に一度くらい、見るに耐えないドラマがあり、
途中で逃げ出すことがある。
それ以外は、ほとんど見ている。
私は、他のテレビドラマは、見ないのだが、朝ドラだけは、
例外的に見ている。
多分に、惰性と言うこともある。

私はたまに、妄想に駆られることがある。
何の気なしに、一緒になった、今の女房が、歳を取るにつれ、、
その威張り度を増している。
時に、母親のような顔で、この私を説諭する。
女房を取り換えることが出来たら、どんなによろしかろう。
という願望が、朝ドラを語る私を、卑しい比喩に奔らせている。

 * * *

朝ドラに関し、何が辛いと言って、その多くが、戦中戦後の混乱期を通過することだ。
日本の民衆史の中で、最も苦難多かりき時代である。
辛酸をなめるような、耐乏生活が描かれる。
私も、幼い目でもって、その一端を見た記憶がある。
つい、身につまされる。

その代り、終戦の玉音放送が流れると、ドラマは一変し、希望に満ちた時代になる。
これがあるから、見ていられる。
もしも、戦中戦後の、悲惨な物語が、延々と続くようなら、
私は途中で、見るのを止めるだろう。

辛いからだ。
私達の世代は、当時の悲惨な状況を、否応なく知っている。
身に染みるほど、わかっている。
今さら、古傷に触れられたくはない。
それで、ドラマから逃げる。
決して戦争を、記憶の外に、押しやろうとするわけではない。

今度のドラマ、冒頭において、
灰燼と帰した、神戸の町を見下ろすシーンがあった。
いやな予感がする。
神戸大空襲の惨禍は、野坂昭如の小説で、とうに知っている。
神戸は、前面を海、後ろを山に囲まれ、逃げ場のない町だ。
爆撃により、無辜の民が、多数死んだ。
幼い妹を連れ、命からがら、逃げた野坂だが、その後、妹を餓死させるに至る。
その模様は、直木賞受賞作の「火垂るの墓」に詳しい。

私は既にして、涙腺の制御機能を失っている。
なるべく、悲惨な物語は、見たくない。
ヒロインの笑顔の、続くことを願っている。

 * * *

「坂東営業部」
今回のドラマで、ヒロインの父が営む、商社の名である。
今なら「坂東商事株式会社」であろう。
昭和初期「部」を付けた社名が、流行ったのかもしれない。

私はそのことを、父の写真から、思い出している。
父は、新潟の農村から、道具箱一つを担ぎ、東京に出て来た。
叩き上げの、大工であった。
雪国に育った者は、押しなべて、辛抱強く、働き者であったらしい。
骨身を惜しまず働いた父は、やがて、一国一城の主になった。

その時の写真がある。
満面の笑みを浮かべた父が、立っていて、その傍らの看板には、
「和田建築部」と大書してあった。
初めて、その写真を見た時は、何故「部」なのかと思った。
今なら「工務店」あるいは「○○建設〈株〉」であろう。
当時は「部」が、かっこよかったのでは、あるまいか。

 * * *

朝ドラを見ながら、つい、そんなことを考えている。
私はもう、すっかり新妻に、のめり込んでしまった感がある。

前妻は、雑誌「暮らしの手帳」創業者がモデルとされる、小橋常子さんだった。
通称「とと姉ちゃん」
私は多分、その名を忘れないであろう。
きっと長く、覚えているだろう。
だから、とと姉ちゃんよ、新しいドラマに奔った私を、どうか許してくれたまえ。



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ベテランですね

パトラッシュさん

ももこさん、
お久しぶりです。

朝ドラ、第一回からですか……それはそれは、私なんかより、ずっとベテランですね。

「暮らしの手帳」についても、お詳しい。
「ファミリア」にも……
となると、前回今回、なおさらのこと、目が離せませんね。

そこへ行くと、この私には、まったく未知の世界です。
神戸の町に、俄然興味が湧いています。
芦屋も同じく。
何時か行ってみようと思っています。

2016/10/11 08:40:30

今回も

ももこさん

お久しぶりです。

私の朝ドラ、第一回の「娘と私」から。
高校時代、見てから登校の日々でした。

「暮らしの手帳」は一世紀の頃から読んでました。
大橋さんの随筆「すてきなあなたに」は今も手元に。
商品テスト、大変だったのですね。そんなこと考えたこともありませんでした。

今回も「ファミリア」が身近な存在だったのです。
神戸の隣り、芦屋の服飾専門の学校に在学していました。親しくしていた友人がファミリアに就職したのです。
もう50年余り前のこと。
彼女はもっと感慨深く見てるのではないかな、と想いを馳せています。

2016/10/10 21:45:33

同じです

パトラッシュさん

彩々さん、
少しはドキッとしてくれましたか。
(それが付け目でした)(笑)

朝ドラと、私との付き合いも、いつの間にか、45年、
振り返れば、大変な年数です。
NHKも、朝ドラと大河ドラマは、決して止めないですもんね。
どうやら、私の方が、先にくたばりそうです。(笑)

今回は、神戸が舞台。
先ず思い浮かべたのは、彩々さんのことでした。きっと、懐かしさも、一入のことでしょう。

「ファミリア」は、知りませんでした。
というより、私は、神戸のことを、何もかもわかっていないのですがね。
にわかに、神戸に行きたくなって来ました。

キャスティングへの違和感も、そのうち解消するのでは……
全編を通して、不満を抱き続ける、ということは滅多にないと思います。
慣れるのでしょうね、きっと。
そう、再婚のように……です。

2016/10/09 12:19:19

さすが、、、

彩々さん

パトさん、おはようございます
冒頭の二行に、ドキッとしながら
引き込まれて…
パトさんは、NHK朝ドラの「宣伝広告部」かと
思っちゃいましたよ。(笑)

今度は三ノ宮センター街の角に建つ
少女時代にあこがれた「ファミリア」。
そこが舞台とあれば、見なければなりません。

「暮らしの手帖」→「ファミリア」と
なると、昭和時代を生きた女性達が
その時代を語るに欠かせないアイティム(?)
だと思います。
NHKはしっかりと時代の風を詠んで、朝ドラ
にも昭和と女性を盛り込んできていますね。

でも、私は主人公選び、キャスティングに
いつも違和感があります。
しかし、これも最初だけ感じることかも
しれませんが…
これも良くしたもので、結婚生活と同じ。
半年の間に慣れて来るものですね。
私も早く再婚相手に慣れなきゃ〜(大笑)

2016/10/09 05:57:44

恐れ入りました

パトラッシュさん

Reiさん、
私より、上がいましたか……
その熱心さが、パッチワークのような、微細な作業を貫徹するに、役だっているのでしょう。
(私には、とても根気が続かない)

男女関係を、比喩に用いるのは、私の心に、満ち足らない、何かが、あるからかもしれません。
自分では、どなたにも、わかりやすくて、よいと思っているのですがね……

2016/10/08 12:09:36

よく覚えておられます

パトラッシュさん

喜美さん、
記憶力がよろしいですね。
私の忘れていることを、しっかりと覚えていて下さる。
頼りにしております。
ちなみに、お母さん役は、木村多江さんでした

そうですか、喜美さん宅でも、朝飯ドラマと化しましたか。
八時、私達シニアには、ちょうどいい朝食の時間だと思います。

2016/10/08 11:58:27

文は人なり

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
よくご存知で。
私は「とと姉ちゃん」は見たものの、大橋鎭子さんの名は、知らなかったのです。
何しろ「暮しの手帳」すらも、その名は知っていましたが、読んだことがなかったからです。
「すてきなあなたに」
も当然知りません。
しかしながら、おおよその察しは付きます。
あれだけの業績を残した方が、つまらない文を、書くはずがない……ということで。

2016/10/08 11:51:58

すぐにはまる

Reiさん

おはようございます。

すぐにはまると言えば、私は師匠以上かもしれません。
朝ドラを見て、すぐに原作本を買ってしまいます。

「とと姉ちゃん」も原作の“「暮しの手帖」とわたし”という本を買いました。

それを読み終わる前に、次のドラマが始まり、涙ながらに見ています(^^;)

師匠の妄想は極端ですが(?)とと姉ちゃんは許してくれると思いますよ(^^)

2016/10/08 10:48:33

この頃は

喜美さん

とと姉ちゃん ぱとさんがお母さんが好きと言っていたころから見始めました 其れが習慣は恐ろしいものです
私も食事を合わせ出し必ず見ています
食べたり見たりですから忘れるのも早いかもしれません

2016/10/08 10:34:22

「すてきなあなたに」

シシーマニアさん

世間でよく聞く「とと姉ちゃん」とは、大橋鎭子さんがモデルでしたか・・。

私は「暮しの手帖」を時々読んでいましたが、その中の「すてきなあなたに」という、エッセーがとても好きでした。ちょっと影響も受けました。

そのエッセーを書いていたのが、大橋さんだったと聞いた事がありますが・・。

2016/10/08 10:07:50

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