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パトラッシュが駆ける!

お嬢さん 

2016年12月17日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

テレビの紀行番組に、海辺の町が映っていた。
そこは、漁港に隣接する、市場と思われる。
女性レポーターが、山盛りの海鮮丼を前に、笑っている。
この後「おいしいー」を連発することに、なるだろう。

その目鼻立ちが、はっきりしている。
目に力があり、それが人を惹きつける。
黒いミディアムヘアを、六四に分けている。
その顔を見た瞬間に、似てる、そっくりだと思った。
何処で見たか……なんて、首をひねるまでもない。
一週間前に、お会いしたばかりである。

その女性とは、たまたま、会食の席が隣になった。
「どうぞ、お嬢さん」
と言いながら、料理の皿を回してあげたら、「えぇ?」のけぞり、
「お嬢さんなんて……」と苦笑された。
私よりは、ずっと若いのだが、世間的には「いい歳」であるかもしれない。
それを、忸怩とされ、私の呼びかけを、戯れと取ったかもしれない。

しかし、こっちにだって、言い分はある。
本日いらしている、K子さんの娘さんである。
お母様の身を案じ、付き添いで、来て下さっている。
それを「お嬢さん」とお呼びして、何が悪い……ということになる。

友人の山靴が、かつて、こんなことを言っていた。
彼は、仕事の関係で、しばしば外国に出かけていた。
「事前に、その国の言葉を、幾つか覚えて行くんだ」
その中に、必ず入れた言葉がある。
「お嬢さん」
これが、国により「マドモアゼル」「フロイライン」「シャオチエ」
「アガシ」などとなる。

道を尋ねた時、何かの世話になった時、相手が女性であれば、すかさず言う。
「ありがとう、お嬢さん」
言葉を知らない、外国人であることを逆手に取り、どんな年寄りだろうが、
女性と見るや、委細かまわず、こう言う。

ある時、彼は、食堂で飯を食べていた。
気付かずに、ナプキンを落したらしい。
それを、通路を隔てた席に居た、おばあさんが、拾ってくれた。
すかさず彼は、その常套句を放った。

そうしたら、そのお婆さんが、とろけるような笑顔になった。
そして言った。
「もう一度、落して下さい」
おばあさん、負けていない。
ユーモアには、ユーモア。
絶妙の機知で、返している。

私も、やってみたいけれど、外国に行く機会がない。
ここ日本で、それを日本語でやると、いかにもわざとらしい。
「ふざけたオジサンね」
ぷんと、横を向かれるだろう。
「ばかにしないでよ」
怒られそうな気がする。

 * * *

SNSの仲間との、昼食会であった。
女性が五人に、男が二人。
これを、女性陣に席巻され、肩身が狭いと見るか、花園に紛れ込んだ、
ミツバチの如くに、幸せと思うか……である。
私はもちろん、後者だ。
男となら、何時でも飲める。
たまには、女性に囲まれた酒席も、悪くない。
それも、才気煥発の女性陣とあっては、なおさらだ。

「登場人物の皆さんを、全部、あだ名で呼ぶんですね」
突然に、私の著書の話になり、お嬢さんが言った。
実を言えば、本日は、幾つかの祝賀を兼ねており、その中には、
私の出版祝いも含まれている。

「そうです。あだ名の方が、読者は、親しみが湧くでしょうから」
私は、人を見たら、すぐに、あだ名を考えるのだと言った。
「ここでもそうです。現に、こうして飲みながら、皆さんのあだ名を、
どうしようかと、そればかりを考えています」
これ、半分ウソである。
あだ名なんて、考え抜いて、結論を出すものではなく、ある日突然に、閃くものだ。
第一、 そんなことを考えながら、飲む酒が、美味いわけはない。

「貴女だったら、さしづめ『女優さん』です」
「えぇ?」
お嬢さん、またしても、のけぞった。
私は、女性をのけぞらせては、喜んでいる。

「女優さんに、似てるんです。その名を思い出せないのです」
「・・・・・」
私達のやりとりを聞いていた、向かいの席の、S子さんが口を挟んだ。
「杉本あやさんじゃない」
これに、あっと驚かされた。
確かに、そんな女優が居た。
「そうだ、杉本エマだ」
「エマじゃない。あやさんよ」
「そうだ、杉本あやさんだ」
こういう時の私は、とても気分がいい。

お嬢さんには、五ヶ月前にも一度、お会いしている。
その時は、Kさん宅に招かれての、昼食会であった。
その時にも、似てると思った。
しかし、その女優さんの名を、思い出せなかった。
五ヶ月来の、私の胃の腑のつかえを、さながら太田胃散のごとくに、
S子さんが、霧消させてくれた。

 * * *

お嬢さん=杉本あやさん。
一週間前に、これで、落着した。
ところが今朝、海鮮丼を頬張る、女性レポーターを見てしまった。
これがまた、お嬢さんに、そっくりなのである。
「手塚理美」
これは、画面にテロップがあったので、すぐにわかった。
私は、芸能界の事には、疎いので、テロップがなければ、
また、胸につかえるところであった。

お嬢さん=手塚理美
もう一つの公式が、出来てしまった。
困ったことになった。
どちらも、捨てがたい。

彼女について、適宜なあだ名に行き着くには、まだまだ、時間がかかりそうだ。
下手をすると、また別名が、出現しかねない。
今しばらく「お嬢さん」のままで、行くよりなさそうだ。



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でしょう

パトラッシュさん

Reiさん、
そう思われるでしょ。
(私の目に、狂いなし)(よかったー)

あの母にして、あの娘あり……
仲良きことは、美しきかな……
それは、周囲の者の心をも、豊かにする光景でした。

2016/12/18 08:59:25

どちらにも

Reiさん

似ておられますね。
とてもステキな方でした。
私も数年前、母の同窓会に付き添って行ったことを思い出しました。
でも、私は宴席には参加せず、買い物に行ってしまいました。
お付き合いして下さった「お嬢さん」は偉いわ(^^)

2016/12/18 07:09:12

さすがのお嬢さん

パトラッシュさん

喜美さん、
もちろん、褒めているのです。
なんたって、杉本あや+手塚理美ですもの。
たんと、ご馳走になって下さい。

2016/12/17 13:23:24

既得権益で

パトラッシュさん

吾喰楽さん
女性の多い宴席は、もててるような気になり、楽しいです。
男の出席者を増やすのは、止めときましょう。

2016/12/17 13:19:23

まあ大変

喜美さん

褒められたか さかなにされたか解りませんけれど 娘は近く二人でお寺に行くため来ますから良く読ませて ご馳走させますわ

2016/12/17 11:23:09

ミツバチ

吾喰楽さん

おはようございます。

花園に紛れ込んだ、もう一匹のミツバチです。
私は、席が離れていて、お嬢さんとは、話す機会がありませんでした。
最初と最後に、挨拶しただけです。

私も芸能界には疎く、1週間前なら手塚理美と云っても分かりません。
たまたま、数日前にテレビで見かけました。
でも、似ていることに、気が付きませんでした。

2016/12/17 09:36:57

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