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パトラッシュが駆ける!

喩えれば 

2017年09月09日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

遠ざかって行く男の背に「ちょっと」と呼びかけた。
「ポイ捨ては、困りますよ」と言う代りに「これ」と、路上を指差した。
ここで男が、素直に謝ればよかった。
もう、やるなよと言い、吸い殻は、私が掃いて、捨てるつもりであった。

「僕じゃありませんよ」
薄笑いを浮かべている。
「でも、さっきまで、なかったんだぜ」
「証拠があるんですか?僕が捨てたと言う」
証拠なんてものは、ない。
捨てる瞬間も、見ていない。
しかし、前後の情況から、彼以外の者が、それを行ったとは、
考えられない。

こんな時、私が警察官なら、ことは簡単だ。
ポケットの中身を、見せてもらう。
中にはきっと、タバコがある。
その銘柄が、吸い殻と一致するなら、犯人たる蓋然性は、
かなり高くなる。
それより何より、吸い殻に付いている、唾液の、
DNA鑑定をやればいい。
決定的証拠になるだろう。
しかし、殺人事件じゃあるまいし、たかが、タバコのポイ捨て一つで、
警察が、そんな手間ひまを、かけるわけがない。

悔しいが、泣き寝入りをするよりない。
それとも水掛け論を、繰り返すかだ。
「捨てたろう」
「捨ててません」
これを、日の暮れるまで、やるかだ。
ただでさえ、気の短い私には、とても無理だ。

もう一つ、方法がある。
思いっきり、嫌みを言うことだ。
「例えばだよ、男と女が、二人きりで、ホテルに入ってだよ、
それでも『一線は越えてません』なんてことを言う。
あれと同じようなもんだよ、あんたの言い逃れは」
これを聞いたら、彼も、怒るであろう。

「そんな問題じゃないでしょ」
多分、喧嘩に発展するであろう。
ど突き合いになったら、私は、若者の腕力に、敵わないだろう。
結局は、苦虫を噛み潰したような、顔をして、彼を放免するよりない。

 * * *

ディベートにおいては、間髪を入れずに、言葉を選び、
応酬しなければならない。
私は、これが得意でない。
さりとて、水掛け論も嫌いだ。
不毛の、罵り合いになる。

論戦において、相手を言い負かすには、例え話を持ち出すのが、
効果的だと思っていた。
それで頭を絞り、例話を創案する。
現実の社会現象の中から、使えそうな事例を、援用する。
前述の、一線云々も、その一つである。

しかし、苦労して、持ち出した割に、その例話が、あまり役立たない。
効いたためしがない。
「そんなこと、誰も言ってないでしょ」
相手は簡単だ。
その例話を否定するだけでいい。
話はまた、振り出しに戻る。
割りに合わない。
私は、このような徒労を、もう止めようかと思っている。

 * * *

「結果が大事なんだ。何百万人殺しちゃったヒトラーは、
やっぱりいくら動機が正しくても、だめなんだ」
麻生財務大臣が語ったとされている。
私は、これを聞いた時「またやった」と思った。

麻生さんが、ヒトラーの動機を、正しいと思っているわけではない。
物事を喩えるには、引き合いに出すものが、大きければ、大きいほど良い。
山なら、富士山、エヴェレスト。
川なら、アマゾン、揚子江だ。
そして、人物なら、歴史上の著名人だ。
良きにつけ、悪しきにつけ、彼らを引き合いに出せば、効果が上がる。

それでつい、使ってしまった。
そこに悪意はない。
ヒトラーへのシンパシーなんぞ、ありはしない。
それは分かっている。
その上で、その軽率さは、やはり責められねばならない。
村の寄り合いとは、わけが違う。
一国の副総理である。

麻生さんは、ご自身を、演説上手と、思っておられるのではないか。
何かにつけ、喩えを持ち出す。
そこに、その自信のほどが窺える。
但し、上手く行く例は、あまり見かけない。
むしろ、失敗する方が多い。
そして、失敗に懲りない。
何度でも繰り返す。

私は、同じように、失敗する者として、その気持がよくわかる。
喩えは、これが上手く決まった時の、快感たるやない。
それで、つい、濫用する。
しかし、外れが出る。
私のような、市井人は、笑って誤魔化せばいい。
政治家ともなれば、そうも行かないではないか。

まるで、あの麻生さんのようだ……
失言、虚言の、典型的人物として、歴史にその名を、残すのではあるまいか。
彼と同類に見られるのは、耐えられない。
私はもう「喩えれば」を、止めようかと思っている。



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相手を見て言います

パトラッシュさん

漫歩さん、
そうなのです。注意はしたいが、喧嘩はいやだ。
それで、つい、口をつぐんでしまうことが、少なくないのです。
下手をすれば、命がけですからね。
人相風体を、よく確かめてからにします。

幼少期の育ち方(育てられ方)大事ですね。
親の責任は、大きいと思います。

2017/09/09 20:22:52

身近な事例で十分です

パトラッシュさん

澪つくしさん、
すごくなんか、ありませんって。

堅実がいいです。
大風呂敷は、広げない方が、よろしいのです。

それをわかっていて、つい、喩えを用い、反撃を食っているのが、私の実情なのです。

2017/09/09 20:18:46

そうです

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
喩えを用いる人は、その言説に、多少なりとも自信を持っているのです。
説得力が、増すと思っているのです。
実際は、難しいのですがね。

後輩なら、遠慮もあり、反論は出ませんね。
私もつい、年長たるを、嵩に着て、頻用してしまっています。

2017/09/09 20:15:45

「我関せず」は情けないが。

漫歩さん

何時頃からの現象か定かではありませんが、
 キレ易い人間が多くなった。
 ごく普通に見える者が刃物を持ち歩いている。

不正や不道徳や人迷惑などを注意するのが命がけな時代になったと言ったら大袈裟でしょうか。

歳と共に体力の衰えた私は、情けなくも「我関せず」が多くなりました。


(蛇足)
 幼少時、我慢や抑制をせずに10歳位まで育つと キレ易い性格になり易いそうです。

2017/09/09 15:51:40

喩え話

澪つくしさん

パトさんは凄い!

>物事を喩えるには、引き合いに出すものが、大きければ、大きいほど良い。

やはり殿方は違いますね!

私も仕事でよく使いますが・・・
もっぱら身近な事例しか使いません!
と言うより、学がないので・・・ 使えません(^-^;

小者は小者なりに「あるある」的なものの方が
受け手にも分かりやすい・・・と思って(*´σー`)エヘヘ

2017/09/09 10:03:31

喩え話には、

シシーマニアさん

話し手の自信があったのですね。

私も、つい喩え話を出す癖があって、耳が痛いです。
全く、話術に自信が無いにも拘わらず、ですから。

私の場合はむしろ、人生の先輩的な自信が、よりどころになっている気がしてきました。

益々、たちが悪いですね。

でも師匠の喩え話なら、周りは聞いてくれそうな気がします。

結局は、お人柄、だと思います・・。

2017/09/09 09:43:08

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