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パトラッシュが駆ける!

キルト展 切るとて切れぬ 人の縁 

2017年11月10日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

絵が描けたら……
楽器が弾けたら……
どんなに楽しかろう。
ということを、若い頃思った。
頻りに思った。
実際に、それぞれ、手を出したことがある。
しかし、才能がないということは、如何ともし難い。
やはり、だめだ……
諦めるのに、そう長い時間は、かからなかった。
その劣等感もあり、美術や音楽をよくする人への、尊敬の念は強い。

鑑賞するのも、好きだ。
美術館には行くし、音楽会へも行く。
いそいそと出かける。

私の、囲碁の友人に、この国の古美術界で、重きを為した人が居た。
「難しいことは、考えなくていい。
心に響くものがあったら、それが良い作品なんだ」
理屈でなく、自分の感性でもって、作品に向き合えと、教えてくれた。
「美術館の一画に、十数点の絵画が、掲げられているとする。
時間をかけ、全部を均等に、見る必要はない。
遠くから眺め、これはという作品に近付き、重点的に見る」
彼が実践しているところの、鑑賞法を教えてくれた。
その友人は、先年死んだけれど、私は遺言のように、その教えを守っている。

 * * *

このシニアナビの会員である、Reiさんは、長くキルトを制作しておられる。
キルトとは、表地と裏地の間に、薄い綿を入れ、
重ねた状態で刺縫いしたもの。
多くの色の布を縫い合わせ、それを、パッチワークキルトと称している。

彼女が、その作品を出展する展覧会が、毎年この時期に行われる。
報せを受けると、私は、それを見に、池袋の芸術劇場展示場まで、
出かけている。
閑人だから、時間はたっぷりある。
他にも、知人の陶芸展などがあると、私はなるべく、
行くようにしている。

それは、音楽でも同じ。
演奏会があると、出演者との縁が、例え、袖触れ合ったほどに薄くても、
出かけるようにしている。
「義理で」というわけではない。
見る、聴くが、好きだから……
つまりは、野次馬だから、ということになる。
そして、もう一つ。
観客や聴衆の多いことが、アマチュアの制作者や、演奏者にとって、
大きな励みになるから……
とも思っている。

 * * *

絵画の多くは、絵の具を用いる。
多くの色があり、時に、それを混ぜ合わせ、独自の中間色を、
作り出したりする。
キルトの場合、絵の具の代りをするのが、布だ。
色に限りがあろう。
その限られた布を駆使し、絵を描く。
紋様を組み立てる。

会場に入って、驚くのは、その豊かさだ。
リアリズム(的なもの)、アブストラクト、シュールを思わせる極彩色など、
よくぞ、布の組み合わせをもって、見事な絵を描いた。
という作品が多い。
手間ひまが、かかったであろう。
絵筆のように、さーっと一刷き……とは、参らぬはずだ。

「ええ、一年かかりました。行き詰まったことも、一度や二度でありません」
Reiさんが、その作品を前にして、苦心を語る。
公園をモチーフとする、縦横が、170センチもある、大作である。
力がある。
リズム感がある。
優れた作品であることを、正直に申し上げた。
私は、死んだ友人の教えを守り、この胸を衝いて来るものが、
あるかどうか……
その一点に絞り、作品を見ている。
ディテールには、こだわらない。
だから、作品から、五メートル離れ、見ている。

もう一つの教え、これは守りかねた。
私は、三十数点ある、全作品を、仔細に見て回った。
見飽きなかったからだ。
それぞれに、見るに耐えるものが、あったからだ。

二次会に行かねばならない。
惜しみつつ、会場を去った。

行って見るものだ。
俗世では、得難い一時間が、そこにあった。
人とは、付き合ってみるものだ。
思わざる才能の輝きを、その頭上に、見ることが出来る。
                         

【筆者註】当該キルト展は、昨九日を以って、終了しております



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皆さん楽しい人で……

パトラッシュさん

漫歩さん、
まったく縁のなかった芸術の分野に、ひょんなことから、興味を持った。
これも、SNSの一つの効用かもしれません。

オフ会というのは、己の眼力を試される場、でもありますね。

今のところ、バーチャルとリアリティで、大きく食い違ったことは、ありません。

2017/11/10 19:28:50

楽しいでしょうね

パトラッシュさん

NOVAさん、
十五年なさっているとは、ベテランですね。
何時か、作品を拝見させて下さい。

私は、キャンバスに描いた絵よりも、キルトの絵の方が、好きになってしまいました。
でも、鑑賞だけ。
作る方はやりません。
先日の会場でも、男性の作品は、一つもありませんでした。
女性向きの、芸術なのですね。

2017/11/10 19:23:54

提出して下さい

パトラッシュさん

シシーマニアさん
破門は致しませんが、未提出の場合、ワインの一気飲みくらい、強要するかもしれません。(笑)

四日間の東京生活で、多くの出来事があったことでしょう。シシーファンは、その動向を、さぞ知りたいことでしょう。
(私もその一人)
楽しみに、来週を待ちましょう。

2017/11/10 19:18:24

新天地で

パトラッシュさん

彩々さん、
貴女の陶芸作品には、既にして、心に響くものがありました。
さらに、高みを目指し、頑張って下さい。

2017/11/10 19:06:55

持つべきもの

漫歩さん

佳いものを鑑賞されましたね。

私は早速Reiさんのブログを訪ねてみましたら、アメリカで買い求められたキルトのキッドについて書いておられ、完成品の写真も載っていました。

今日は、パトラッシュさんに新しい知識を戴きました。そして、持つべきものはナビ友との感を深めました。

2017/11/10 14:08:09

アメリカンキルト

さん

他のメンバーの方のブログでも拝見しました。
アメリカンキルトを始めて15年、ここ数年は遠ざかっていましたが、帰国したら再開しようと思っています。
キルトの楽しみってどう布を合わせていくか、ああでもない、こうでもないと布を置いてみるところにあると、私は思っていますが、これはひとそれぞれ。
その人なりの「一番好きなところ」があっていいのだと思います。
「見入る」、ステキですね!

2017/11/10 11:28:27

あれだけの展覧会を、

シシーマニアさん

私も、きちんとレポートは提出したいと思います。

日曜日に、小さな本番があるので、それが終わって落ち着いたら、と思っています。

師匠のサロンにお邪魔して、レポートなしでは破門でしょうね・・。

2017/11/10 11:17:23

レポート

彩々さん

弟子の末席を汚してしている不出来な
教え子ですが、書こう、書こうとは
想いつつ…。


そこに師匠自らレポートの提出。
さすがと言っては何ですが、さすがです!

その中にあるご友人の

>この国の古美術界で、重きを為した人が居た。「難しいことは、考えなくていい。
心に響くものがあったら、それが良い作品なんだ」

心に留めおきたいお言葉です。

私もそのようなモノの観方、接し方、
自身の生き方にもそのように、反映させて
行きたいと、かねがね思っております。

2017/11/10 09:21:14

あれだけの展覧会を

パトラッシュさん

Reiさん、
誰も書かないから、自分で書きました。

2017/11/10 09:01:17

師匠へ

Reiさん

展示会を見に来てくださって、ありがとうございました。
そして、作品を褒めていただき、嬉しい限りです。

師匠自らレポートしていただけるとは!
···私たちが「いたしません」と言ったのですが(≧▽≦)

昨日搬出が終わりました。
また、新たなスタートを切りたいと思っています。

2017/11/10 08:19:48

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