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パトラッシュが駆ける!

賛否両論 

2018年01月13日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「らしくない」
ということを、横綱審議委員会の委員長が言った。
横綱白鵬の、取り口についてである。
立ち会いに、張り手や、かち上げを繰り出すことが多い。
横綱なら、小手先に頼らず、正々堂々と胸を出し、相手を受け止めてほしい。
それから、押し出す、投げる、寄り切るなど、正攻法の相撲を取ってほしい。
という主張である。

これに対し、ビートたけしが、ある情報番組の中で、異論を唱えていた。
「相撲の技なんだから(張り手もかち上げも)、いいじゃないか」
禁じ手でも何でもない。
横綱だけが、技を制限されるのは、不公平じゃないか……
という理屈だ。

確かにそうだ。
ルールは、誰にも平等に適用されるべきだ。
ルール以上のことを、一部の者だけに求めるのは、
フェアでないかもしれない。

一方でしかし、横綱には、品位と言う問題がつきまとう。
横綱は、心技体に優れ……と求められる。
「技」「体」はともかくとして「心」が問題だ。
これほど、曖昧で、言葉に表し難いものはない。
具体的基準がない。
当人任せの、努力目標のようなものだ。
「品格に乏しい
「いや、十分に備えている」
評価が分かれて、当然なのである。

* * *

昔、高校野球において、五打席連続敬遠という“事件”があった。
高校球界の逸材、松井秀喜を擁する、石川の星稜高校と、四国の雄、
明徳義塾高校の一戦であった。
得点圏に走者がいるなら、よくあることだ。
ランナーの一人もいない場面でも、強打者松井との、勝負を避ける。
そのバットを、振らせないよう、故意に四球を与える。
それが、五打席連続である。
物議をかもさない訳がない。
「フェアじゃない」
「いや、野球のルールにある。戦術として、何ら問題ない」
両論が渦巻いた。

この騒ぎに、輪をかけたのが、高野連、つまり高等学校野球連連盟、
牧野直隆会長(当時)のコメントだった。
「無走者の時には、正面から勝負して欲しかった。
一年間、この日のために、お互いに苦しい練習をしてきたのだから、
その力を思い切りぶつけ合うのが高校野球ではないか」
「勝とうというのに走り過ぎる。すべてに度合いというものがあり、
今回は度が過ぎている」

大会を主催した朝日新聞社もまた
「大事なものを忘れた明徳ベンチ」と題するコラムにおいて、
「どんな手段を取ってでも『勝つんだ』という態度は、
どう考えても理解しがたい。
特に、走者のいない二死無走者(七回)までも、
ボール連発を命じた時は、おとなのエゴを見たような気がして、
不愉快ささえ覚えた」
とまで書いている。

 * * *

「お前、どう思う?」
友人のYが。私に言った。
居酒屋で飲んで居る時であった。
「感心しないね。何が何でも、勝負にこだわる姿を見て、
不愉快になった」
私は、正直に答えた。

「だけど、ルールにあるんだぜ。あれの何処がいけないんだ?」
「ルールが全てじゃない。ルール以前に、大事なものが、あるはずだ」
「あるなら、それを、明文化すればいいじゃないか」
「そんなもん、逐一規定する必要はない。人間には、良識というもがある」
「良識って、なんだ? 誰が決めるんだ?」

Yとの論争は、何時もこうなる。
双方譲らず、何処までも平行線となる。
しかし、議論する意味は、ないでもない。
「世の中には、こういう意見の持ち主も、居るんだ」
ということがわかる。
その意見に、私は承服はしないが、少なくとも一つの意見として、
認めねばならない。

「敬遠なんて、あんなもん、プロなら、誰だって問題ないと言うぜ」
「プロと高校野球は違う」
「同じ野球じゃないか」
「プロは、勝ち負けが全てだ。高校野球は違う。教育の一環だ」
「野球がか?」
「そうだ」
「何を学ぶ?」
「いかに負けるかをだ」
「負けるを学ぶって?」
Yが笑った。
お前はバカか……というような顔を、私に向け、笑った。
私も、もう、それ以上を言わない。
とうに、諦めていた。
Yに「美しさ」を説いたって、それをわかっては、もらえないだろうことを、
わかっていた。

 * * *

Yが生きていたら、きっと、今回の問題も、議論になっただろう。
Yはもちろん、ルールを至上とし、白鵬の擁護に、
口角泡を飛ばしたであろう。
「何ら、問題ない。横審の委員長の、あれは勇み足だ」
「いや、妥当だ。よくぞ言った」
私はもちろん、ルール以前の「曖昧な部分」にこだわることになる。
甲論乙駁し、最後は「美しさとは何ぞや」という、
最も議論し難いところに、行き着いたのではあるまいか。

Yは、私には、終生のライバルであった。
八年前に、肺ガンで死んでしまった。
若い頃から、ヘビースモーカーであった。
「よくないぞ、身体に」
タバコを止めろと、何度言ったか、知れやしない。
しかし、その度にYは笑い飛ばした。
「長生きなんか、したくないさ」
嘯いていた。
そして、本当に、その通りになってしまった。

彼は彼で、思っているかもしれない。
俺は、自分の思いを貫き、正々堂々と生きた。
長く生きることが、即ち、美しいことではない……
俺はそれを、身を以って、示したぞ……
今頃あの世で嘯いているかもしれない。

白鵬の張り手を見る度に、私はYの熱弁を思い出している。



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今後が……

パトラッシュさん

ももこさん、
相撲のファンでしたか。
白鵬のあのサポーター、物議をかもしていますね。確かに、相手への衝撃は、生身でぶつかるより、強そうです。

大鵬は確かに、堂々たる横綱相撲でしたね。
尊敬されるべき存在でした。
今の白鵬には、その辺が欠けているようです。

日本人だけでやっていたら……
もちろん、成り立っていたと思います。
しかし、相撲には、部屋と言うものがあり、各親方とも、部屋の繁栄を考えないわけにも、行きません。
外国から、強くなりそうな人材をスカウトして来るのも、止むにやまれぬところが、あったのでしょう。
今後、相撲が、どういう方向に進むのか……
下手をすれば、衰退の一途……なんてことも、考えられないでもありません。
相撲関係者には、よくよく考えて頂きたいものです。

2018/01/17 06:15:25

日本人力士、頑張って!

ももこさん

今場所はTV中継は見る気がせず結果の確認のみです。

ああ、あの白鵬の浴衣、いけませんね、と言うより嫌いです。
我家ではいつも あれ駄目だ、となります。
寒いわけでもないでしょうに。

サポーターをした腕でのかちあげは、そのためのサポーターで防具になっているように見えますものね。

若い頃から大鵬ファンでした。
きれいで、堂々と横綱相撲、強かったですね〜〜。

こんなことは言っては駄目なのでしょうけれど
昔の外国人力士はこんなことなかったですね。
モンゴル出身力士が増えて目立ってきました。

外国人の受け入れをしなかったらどうなってたのだろう、と時々思います。
それなりに成り立っていっただろうと思うのは甘いのでしょうか?

2018/01/16 20:31:17

なるほど……

パトラッシュさん

yopikoさん、
よく見ておられるのですね。
私は、ぼんくらで、浴衣のこと、気付きませんでした。
相撲は、裸がいいですね。
(町へ出る時は、もちろん着衣で)

相撲に限らず、気付いたことがありましたら、どしどし書き込んで下さいな。

2018/01/15 07:26:12

私も一言いいですか

yopikoさん

大相撲は好きでテレビ観戦しています

白鵬が相撲終えて帰る時に
浴衣を掛けてもらい引き揚げて行きますね
あれはいけません
ボクシングじゃあるまいし
本当に不快な気持ちになります

朝青龍から始まりました
日馬富士もやりましたね

不快に思うのは
私だけでしょうか

モンゴル人横綱を
悪く言うつもりはありません
ただ大相撲を
嫌いになりたくありません
素晴らしい相撲を
観たいのです

どうかあの浴衣を
羽織って下がることは
辞めて欲しいものです
ものすごく
かっこ悪いですよ!!

2018/01/14 22:41:52

なるほど

パトラッシュさん

漫歩さん、
さすがに相撲通でいらっしゃる。
私などより、ずっと相撲を深く考えていらっしゃる。
相撲鎖国論は、今も根強くあります。
(私の妻なども……)
この先、情況により、その勢いを増すかもしれませんね。

2018/01/14 16:23:07

大相撲の特殊性

漫歩さん

大相撲の横綱についてのパトラッシュさんの思いと私の思いは同じです。

横綱とは、常に正々堂々と勝負して抜きんでた強さを示す力士に与えられる称号です。ゆえに、他に卓越した心技体を求められるのでしょう。

勝っておごらず、負けて潔よいこころ。
ルールに有る技の中でも正々堂々たる技で勝つ。
切磋琢磨した他に勝る体力がある。

話は変わりますが、大相撲には、日本古来の神々を
敬い美しい心身を捧奉納する神事の一面があります。

そこが他の格闘技としてのスポーツとは同一に論じられないところです。

以上のような要素から、私は外国人の参入には一貫して反対でした。是非改革して貰いたいと思っています。

最後に一言、伝統ある不知火型の土俵入りが崩れて
しまったことが残念です。

2018/01/14 11:15:52

貴裕さん

パトラッシュさん

ご意見、ありがとうございました。
私もまったく、同意見であります。

2018/01/13 20:38:44

続き

パトラッシュさん

>拍手だけをする人たちは、この問題に関心があるというよりも、
>パトラッシュさんとつながりあいたいということでしょうね。

このように、憶測で、多くの皆さんを、決めつけるのは、やめて頂きたい。
拍手を下さった方々には、付き合いの長い方、日の浅い方、そして、
今回初めて、接点を持った方もいらっしゃいます。
中に、私と繋がり合いたいという方も、いらっしゃるでしょう。
一方で、私の文を読み、意見が一致したと言う方も、いらっしゃるでしょう。
それを一括りに、推断するのは、乱暴に過ぎると思います。

また、仮に、私と繋がり合いたいという方が居たとして、それの何処が、
いけないのでしょうか。
さながら、侮蔑を含んだような、その物言いは、はっきり申し上げて、
不愉快です。
私にも、繋がり合いたくない人間は、少なからず、おります。
その一人が、あなたです。
今後のあなたの動向により、必要な処置を取らせて頂きますことを、
この際、申し上げておきます。

2018/01/13 20:34:03

雲の峰さん、

パトラッシュさん

ご意見は、よくわかりました。
私は、タイトルにも書きましたように、この問題について、
賛否両論があるのを、よく承知しております。
本文にも書きましたように、ビートたけしや、友人Yが、生きていたら、
抱くであろう意見を、尊重した上で、私見を述べております。
両論並立で、よろしいではありませんか。
あなたと意見は異にしますが、論争するつもりは、ありません。

ご意見があれば、コメント欄に、お書きになることも、自由です。
しかしながら、拍手を下さった方々へ「不思議な人たち」と一括りに、
その行動を疑問視するのは、いかがなものでしょうか。
私自身は、その拍手が、例え義理であっても、
私の文に目を通して下さったことに、感謝をしております。

(長くなるので、次に続けます)

2018/01/13 20:33:08

貴裕

さん

こんばんは。

自分もそう拍手のみで過ごしてしまうタイプですが。
でも興味深い内容につい引き込まれて拝読してます。
歴史深い国技に日本ならではの言葉に明記せずの暗黙のルールもあるのでは心とか気持ちとか。
で他国の関取さん方勝ち負けに拘ると何でも有り的考えになるかなと思いました。

2018/01/13 20:28:35

やはり明文化すべきだと思う

さん

この問題を「横綱の美学」「品位」とかで語られることにすごい違和感を感じています。相撲のルールに則って勝った勝者に対して、多くの敗者があれは美学に反するとして、勝者を貶めるようなものではないですか。ルール上で白鵬に勝てない日本人のルサンチマンという部分が大きいように思います。
そうであれば、貴乃花理事長のもとで、日本生まれの日本人だけで大相撲をやればいいでしょう。「美学」や「品位」を暗黙のうちにわかる日本人だけでやればいいのだと思います。
拍手だけをする人たちは、この問題に関心があるというよりも、パトラッシュさんとつながりあいたいということでしょうね。余計なことを書きました。大変失礼いたしました。

2018/01/13 18:00:44

日本人の美意識

パトラッシュさん

Reiさん
相撲がお好きとは、知りませんでした。
勝負が全て、勝つために、何をやってもいいだんだ……と言う考えには、
多くの日本人が、馴染めないと思います。
そこで問われるのが「美」というものを、どう考えるか……です。
日頃、美を追求しておられるReiさんなら、余計に、今日の事態を
嘆かわしく思われることでしょう。

2018/01/13 13:55:29

「実ほど頭を垂れる稲穂かな」

パトラッシュさん

澪つくしさん、
日本人の美徳である、謙虚さ。
それを外国人に求めるのは、無理なのかもしれません。
かつての朝青龍もそうでしたが、今の白鵬も、
少々図に乗っている感があります。
最高位なのだから、何をやっても許されるのだ……と言う風な。

この国には、地位が上がるほどに、謙虚であれ……という、
美風が(時に、努力目標でありつつも)あるのですがね……

2018/01/13 13:54:27

ブログにおける拍手には

パトラッシュさん

時に、激励や祝意、積極的な賛意の表明などを含みつつも、
その多くは「読みましたよ」くらいの、
軽い挨拶と捉えるのが、妥当と思っております。
拍手に、意見の表明が伴わないことを、
私は、不思議とも何とも、思っておりません。

2018/01/13 13:53:39

横綱相撲

Reiさん

私も澪さんの意見に賛成です。
「横綱相撲」とは、他の分野にも使う言葉だと思いますが、相手をいったん受け止めて、それから自分の相撲を取るという、本当に実力のある人のことですよね。
それが相撲の美学で、憧れていましたのに…

相撲界もゴタゴタしていて、早く解決してほしいものです。

2018/01/13 13:21:27

相撲の美学

澪つくしさん

私も白鳳の取り口には異論を唱えたい一人です。

プロスポーツの中でも、若い頃からお相撲は
好きで、よく観ていました。
若乃花・柏戸・大鵬、皆綺麗な横綱相撲で観ていて不快感はありませんでした。

今の白鳳は見苦しいです!
痛めているという肘に二重に巻いたサポーターを使ってのかち上げ!
胸じゃなくてアゴ・顔面に当ててるヨ!
格下に向かっての張り手!
格下は横綱に向かって出来ないっしょ!!

いくらルール違反じゃないとはいえ・・・(-_-メ;)

土俵入りも綺麗じゃないですね〜 
鶴竜の方がまだマシですヨ。

まだまだありますが・・・ これ位に。。。

最近の私のストレスはこれです(⌒▽⌒)アハハ!
暫くお相撲番組は見たくないですネ!

2018/01/13 12:25:14

ここで拍手している人って

さん

この問題にどう考えているんだろうか?
不思議な人たち。

2018/01/13 11:58:07

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