まぬけなご主人様

まぬけな誇り高き男達9話 

2018年04月20日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し





まぬけな誇り高き男達9話



想定訓練は辛い事ばかりではなかった

皆が笑顔で大笑いする事もありました



それは身体検査という想定訓練前に行うチェックでした

私は想定では水に苦しんだ



水分が欲しくて欲しくて我慢出来なかった



だが人それぞれで…


食べ物で空腹で苦しんだ者や煙草が吸いたくて吸いたくてたまらん



そんな訓練生も居た



しかし水も食事も煙草も想定訓練では勝手に出来ない



だから…

隠し持って行くんです



だが助教もそんな事百も承知、助教達も昔は訓練生だったので私達の気持ちは分かっていました



訓練非常呼集がかかってトラックに乗る前に全員整列させられ身体検査が行われるのだ



狐と狸の化かし合い



やりそうな奴は目を付けられて検査が行われた



おいお前



怪しい…

リュックの中身を全部出してここに並べろ



はい…

訓練生はリュックの中身を素早く出した

一つ一つ助教は調べるが何も出てこない

怪しい



お前は絶対怪しい



何時もお腹をを空かしているお前の事や!絶対食べ物隠してるはずや



ヘルメット脱げ…

何も無い

上着脱げ…

何も無い

ズボンにブーツ脱げ…

何も無いが訓練生の顔色が、顔が引きつりだした



私達はクスクス声を出さずに肩を震わせ笑いをこらえていた



訓練生がパンツだけになってもまだ助教の検査は続いた



おかしい…

おかしい…

お前絶対何か隠してるやろー言うてみー



いえ何も隠してません…

訓練生が答えた

ほなパンツ脱いでみろ



ギクッ



訓練生の身体がビクッと動いた



私達は我慢に我慢をしていた



男のシンボルを手で押さえて訓練生は…

何も隠しておりません



手を上に上げてみろ



げっ



訓練生は仕方なく腕を上げて万歳を…

ゾウさんの鼻が元気なくプランプランしていたが何も出てこない…

後ろむいてみろ



ギャハッハッハ



耐えきれず私達は爆笑したのだ

お尻の割れ目にソーセージを落ちない様にテープでくっつけていた…



ギャハッハッハ



死ぬかと思うほど爆笑した



コラッ〜



腕立て伏せ用意



沢山の訓練生が隠していたが助教に見破られた



ブーツの中敷きの形に切った干し肉



腕立て伏せ用意



耳の中に小さく切ったガム



口の中にビニールの中に入れた飴



腕立て伏せ用意



ラップで包んで男性シンボルにテープで巻き付けた煙草



腕立て伏せ用意



ありとあらゆる所に隠した



私はヘルメットの裏にビニールに水を入れて被っていたがヘルメットが宙に浮いている様な違和感が有り直ぐにバレた



腕立て伏せ用意



100回腕立てしたが…
トラップに気付かない助教



そんな解りやすい場所に隠すかいな



予めビニールに水を入れて平らにし昨夜から凍らせた氷を



これまた予め戦闘服の内側にポケットを作っておいてその中へ



マジックテープをくっつければ完璧



だんだん溶けて水に



イッシッシ



因みに山で食べ物や水や煙草を現行犯で見つかり捕まると…

想定から帰ったら

助教が良いというまで永遠にフル装備でグランドを走り続けなければいけなかった



これはケタ違いの地獄処刑でした



想定を耐えて耐えて帰ってからですから

殺される



死んだ方がマシやと



一歩走る度ダンベルがカチン

カチンと音を立てて上下運動



背中から誰かに引っ張られてる様に重いのなんの



私は現行犯で二回捕まり公開処刑を受けました



レンジャーそれは



地獄



残るは最後の最後

最終想定を残すのみと駒を進めた

私達訓練生でした




鏡を見ながら顔にどうらんを塗る…

こけた頬に深緑や黒色を

目だけがギラギラ光る



戦闘服ブーツリュックに機関銃、何時もの戦闘準備でトラックに乗り込む…

引き締まった顔を全員がしている…



最終想定…



この想定訓練が最後



もうこれで地獄の訓練が全て終わる



山に着くと直ぐに行軍の開始だ…



数ヶ月前の私達とは比べものにならないくらい手際良く山を登った



勿論私のリュックにはダンベルが入っているが重さが気にならない程体力がついた…


毎回山を登りながら私は水に苦しみ脱水状態になりながら考えていた…


この訓練終わったら絶対したんねん


お風呂にコーラをいっぱい入れて飲みながら入ったんねん



こんな馬鹿げた事を考えて喉の渇きを和らげた…



2つ目の何千メートル級の山を超えて谷を歩いてる時だった…



助教が…

まぬ



アソコに温泉が湧いてるぞ〜入って来いと…



えっ



お…お…温泉?



辺りを見回しても温泉など無い



有るのは小さな川が流れてるだけ



あっ



私は大声ではいっと返事をし




その場で戦闘服を脱いで裸になり川、目掛け走り出した…



夕方になりかけの川の水は冷たいがザブンッと飛び込み大声で助教に



最高の湯加減で〜す

いい湯だなハッ八ハン

歌った



助教も訓練生も大爆笑



最後の最後まで助教のイジメは続く



まぬ

オモロかったから水と食べ物やる



おちょこより小さな水筒のキャップに水とご飯粒一つ



このご褒美は嬉しかった



口の中は唾液すら無いからから状態だったので最高のカンフル剤だった



少ない少ない水なので、まず口の中へ流し込みまんべんなく水で全てを洗い流す様に転がせ…

最後に喉の奥へゴクンッと飲み干した



一粒のご飯粒の美味しい事

美味しい事





嫌もクソもない!!



任務だからやるんだよ!!



やるからには必死で助教を喜ばす為にやるんだよ!!



恥ずかしがったり嫌々するなら辞めればいいんだよ



しかし



やった奴だけが光輝くレンジャーバッチ誇り高き勲章が貰えるんだよ!!



そう助教が訓練卒業後に言っていました



飲まず食わず寝ずで1日目が過ぎて2日目に突入…

サンサンと太陽が私達を焦がしてくれる



中学高校と野球部だった私だがクラブの練習もキツいと思っていたが…



幼稚園と成人位の訓練の厳しさ



ある方が言っていたが神様はその人に頑張ったら越えられるハードルを何時も前に置くのだと



そしてそのハードルをクリアしたらまた頑張ったら飛び越せる、先程より高いハードルを置くのだと



私は間違いなく中学高校より高いハードルを前に置かれ今頑張ってそれを飛び越えようとしている



小休止



助教の休憩の号令で地べたに腰を落とした…

夏なのに夜になると冷えてくるのが山だ



2日目も朝から山また山の行軍…



私はリュックから新聞紙を取り出して戦闘服を脱ぎシャツを脱いで身体に新聞紙を巻いてシャツと戦闘服を着る



新聞紙は風を通さない為に身体の保温効果になるのだ



しかし眠い

のどが渇いた

お腹減った 





助教が行軍開始





号令で…



真っ暗な山を歩き出す



道が暗く前の訓練生を見失わない様に蛍光シールがボタン程の大きさでヘルメット後部に貼ってあり



それを後者訓練生が目印にして歩くのだ

何度もつまづき転ぶ

暗くて見えないうえ疲労で脚が上がっていないのだ



昼間は明るく足場が見えやすい焦げる位の暑さ



夜は寒くて足場が見えない危険さ



残るは後1日



後1日頑張ったら



つづく…



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