まぬけなご主人様

まぬけな誇り高き男達 最終回 

2018年04月20日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し






まぬけな誇り高き勲章10話


最終日…ついに来た



どれほどこの日を待ち焦がれた事か



泣いても笑っても今日1日



今日の機関銃は軽く感じられる



気のせいか足取りも軽やかだ



痩せたな〜



私はこの3ヶ月で40キロ程痩せた


ライザックもビックリだろう



他の訓練生も皆、げっそり痩せた



卒業したら焼き肉屋ごと食べたんねん



ビールサーバーごと飲んだんねん



心はウキウキだ




山の頂上に登った



何個目の山やこれ?



どれだけ歩いたかなどもう分からない…



しかし間違いなくゴールは近い




あの山を超えるとトラックが待っているの助教の声が



マジ

マジ



お…お…終わる




皆、歩いた

皆、登った 



最終の力を振り絞って…



み…み…見えた



トラックが



滑る様に山を下り




全員乗車



助教の号令でトラックに飛び乗った…

トラックが走り出した



やったね〜



ホントしんどかったな〜



これで終了の喜びが荷台の私達の歓声が町中に聞こえるくらい上がっていた



が…



トラックがキィキィ〜ブレーキ音を上げ止まった



下車



な…な…なんじゃそりゃ〜



助教が



早よ整列せんかー鼻糞共



此処から駐屯地まで駆け足で帰る



ギャー



ここからって〜一時間以上走らな帰れへんやん



皆の顔が青ざめた



早よ走らんかー



これくらいの訓練でたいそにするなー



私達は走った

足並みそろえて

走った

歩くより少し早い位の速度で…



それが今私達が出せる限界のスピードだが誰一人遅れる事なく走った…



レンジャー

レンジャー



皆声を合わせて走った…



どんどん駐屯地が近づいて来る



一歩一歩近づく度に



全員のレンジャーの掛け声が助教に言われなくても大声になって来る…



駐屯地の入り口が見えて来た




その時だ





パンッ



パンッ



パンッ



爆竹の炸裂する音が



駐屯地全隊員が入り口から両サイドに並びグランドまでずっと立ち並んでいた



爆竹は鳴り止む事なく鳴り続けていた

パンッ



パンッ



レンジャー

レンジャー



私達の声がビックリの驚きと喜びの入り混ざった大声になる



全隊員が拍手拍手の嵐 大喝采



事務員の女性が



花束を先頭の訓練生に渡して下さった




おめでとう



よ〜頑張った



おめでとう



嵐の様に隊員達の真ん中を走る私達に浴びせられる歓声



スターになった気分



おめでとう



カッコイい



こ…こ…こんなに



嬉しい



嬉し過ぎ



何千人の隊員がずっとずっと拍手を



レンジャー

レンジャー



もう直ぐ…

あのグランドから始まった訓練がゴールを…



おめでとう



訓練生皆声のトーンが裏が返る



こ…こ…こんなラストが待ってるなんて



グランドに整列した私達



全隊員が私達を中心に輪になって囲む



脱落した訓練生の顔も居た…



連隊長が壇上に



レンジャー訓練生の諸君よく頑張った



大変な思いをし

今日の最後想定を完了した

君達は今日から精鋭レンジャー隊員だ



胸から何か溢れるモノが込み上げてきた

連隊長の挨拶が終わり



助教のリーダーが私達の前に進み出た



そして…




私達全員に空砲が一発づつ渡された



助教が弾込め用意の号令で訓練生が銃に空砲をそうてんした




構え筒



空に向かって私達は銃口を持ち上げて助教の合図を待った…







艱難辛苦



辛い時もあっただろう



苦しい時もあっただろう



泣きたい時もあっただろう




今、お前達は見事にレンジャー訓練を終えた



泣きたい者は泣け

笑いたい者は笑え

この一発に全てを込めて





撃て〜



パンッ

パンッ

パンッ



私達は助教の合図で空高く鉄砲を撃った



そして…



整列している私達の元に10数名の助教がビール瓶を持って1人づつ…



握手をして



よ〜頑張ったな〜まぬ



想定のお前のスタミナは見事だったよ



そう言って上を向け口を開けろと…



助教の持ったビールを口に流し込んでくれるのだ…



次から次へと全訓練生に全助教が…



頑張ったな〜まぬ



よ〜やったまぬ



ビールと涙で顔がぐちゃぐちゃ



全員訓練生は泣いていた



残った訓練生は18名




今、何十年前のレンジャー訓練を思い出し日記に描きましたが全て覚えております…



それだけ強烈だった訓練なので鮮明にあの時の記憶が焼き付いています



全てを描けなかったですがレンジャー訓練とは何かが少しはお伝え出来たのではないかと思っております…



私は今まで辛い仕事や苦しい仕事の時何時もこう思うようにしております



あの時の訓練に比べたらこんな仕事へでもないわ〜


あの訓練に戻れ言われるよりこの仕事やったら止めろ言われるまでやったるわ〜



私の中の柱になっております



辛い訓練

苦しい訓練を受けたからこそ

苦しい辛い立場の気持ちが分かる様になりました



今の会社でもまだまだ腕相撲は負けませんし何ヶ月も休みが無くても全然へっちゃらです



若い奴らにも私が先頭で嫌な仕事

長い時間の仕事

汚れ仕事などやりますので…

私には文句が言えません



ダメなものはダメ



文句をどんだけ言ってもやらなアカンものはやらなアカン



軍隊式でやっております



勿論成功したらちゃんとキャップの水と一粒のご飯粒はやっております



体力のあるないではないと思います



気力が気持ちが心が強ければどんな困難も超えて行けるのだと思います…


これが無いから、あれが有ったらと言い訳ばかりで、無いなら代用品で何とかその場を切り抜ける、あれが無くても何とか出来た、工夫や努力、知恵を全て出し切り目の前のハードルを乗り越えて行く


人間がやっている事は

どんな事でも出来る!

ロボットがやっている事は流石に無理ですが


気持ちを強く、やり遂げるという意識が有れば何だって出来るんやで〜と新人教育係の私は後輩に指導しております





長々、私のブログにお付き合い頂き誠にありがとうございます、私は退官し一般市民になりましたが、見えはしませんが



私の胸には何時もレンジャーバッチが光輝いております。

byレンジャーまぬ


おわり…



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月あかりさん

まぬけなご主人様さん


長編ブログ読んで頂きありがとうございました

今年もまた、夏がやって来ると全国の駐屯地で腕立て伏せ用意と号令が掛かり、若い訓練生が死ぬ〜と叫ぶでしょうね〜

今でも、もし日本が大変な事になるなら

志願して国を守ります

自衛隊に入らなければ、そんな事関係ないと知らん顔していたと思いますが家族、身内が危ないなら

何処へでも行きます!

愛国心が芽生えましたね〜一番は平和な世の中が続く事ですが

月あかりさんには沢山アドバイスありがとうございました。

2018/04/20 17:23:20

感動!

月あかりさん

1話のコメントに浅田次郎の「歩兵の本領」を
読んだと言いましたが、作家を上回るほどの
読みごたえと感動がありました。

政治の狭間で何かと問題視される自衛隊ですが
私は昔から今でもこれからも自衛隊を応援して
います。

誇り高き男たちに再度この場で沢山の拍手を!!

2018/04/20 13:38:08

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