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パトラッシュが駆ける!
似てる
2019年11月02日
テーマ:テーマ無し
顔を見た瞬間に、気付いたのだが、その時には言わなかった。
似ている女優さんの名を、咄嗟に思い出せなかった。
夕食の膳を運んで来た時に、満を持して言った。
「女将さん、誰かに似てますね」
「さあ……」
「女優さん」
「ほほほ」
「市原悦子さん」
「ふふふ」
「言われるでしょ、人から」
「はい」
やっと頷いた。
憎い人だ。
何もかも、客に言わせ、笑っている。
それはつまり、似てることに自信があるということだ。
もう十年も前になる。
旅の途中で、浜名湖の畔の、旅館に泊まった時の話である。
言ってみるものだ。
彼女の愛想が、さらによくなった。
翌朝の、ご飯のおかずも、異例に多かった。
これが市原悦子だからいい。
泉ピン子とか樹木希林だと、少し厄介なことになる。
「似てる」即ち、必ずしも褒めたことにならない。
ちなみに、当時は健在だった、悦子さんも希林さんも、
既にして鬼籍に入られている。
これらを引き合いに出すのも、いかがなものか。
「今は亡き○○さんに似ています」
「死人に似せないでよ」
相手は怒るかもしれない。
他人の目、これが肝心だ。
本日初対面で、そこに利害関係のない者だからいい。
その第一印象なら、まず間違いない。
一方で、まともに受け取ってはいけないのが、
営業マンや勧誘者の言うこと。
取って付けたような「似てますねえ」を言う。
顔が無理ならパーツ、つまり目、鼻、口でも間に合わせようとする。
「口元がもう、吉永小百合さんにそっくりです」
なんてことを言う。
騙されてはいけない。
彼らは、女優でも男優でも、そのリストを頭の中に持っている。
それが百人も居れば、大概誰かに引っかかる。
一方で近親者の評、これもだめだ。
逆に否定をする。
「ねえねえ、あたしって壇蜜に似てるのかしら……」
「なーにをまた、寝ぼけたこと言ってんだ」
「だって、バロンのマスターが言ってたわよ。
奥さんの色気は、壇蜜にそっくりだって」
「あのねえ、鏡を見なさい、鏡を。そいでもって冷静に、
自分というものを分析しなさい」
配偶者はことに厳しい。
妻または夫の、思い込みを是正し、逸脱にブレーキをかける。
それが自分の使命だと信じている。
* * *
私の妻も、それであった。
「似てません。そんなことを軽々しく言うと、
世間の物笑いになります」
と言い、私のこの度の主張を全面的に退けていた。
内心では、多少似てるかな……と思っていても、
しかし、それを言ったら、亭主の奴は、つけあがるだろう。
だから心を鬼にし、否定した。
ということも考えられなくはない。
しかし、この世は捨てたものではない。
目の良い人が遂に現れた。
ある宴席において、彼は私のすぐ近くに座っていた。
その日が初対面、名前も職業も、知らない。
つまり義理もしがらみもない。
ということは、その意見は公正であると思われる。
「似てますね、吉野彰さんに」
彼は私の顔を、じっくり観察していたとみえる。
「笑ったところ、そして髪の生え際など……」
「ああ、そう言えば……」
釣られたように、周囲の者が追随した。
彼らもまた、消極的ながら、私と吉野さんの関係を認めたことになる。
ノーベル賞受賞の発表以降、私はテレビを見る度に思っていた。
「似てるなあ……」
この目に間違いがなかったことになる。
妻をこの場に同席させたかった。
世間の目はこうだ……というところを、
思い知らせてやりたかった。
しかし、心配ない。
私には証言者が居る。
語句氏を初めとする何人かは、この一部始終を聞いたはずだ。
隣席の三遊亭鳳樂師だって、これを聞いている。
いざという時は、私のために証言してくれるであろう。
ちなみに、そこは居酒屋であり、
ある落語会の打ち上げの席であった。
美人講釈師の神田蘭ちゃんも、同席するはずだったのに、
直前でキャンセルされた。
皆さんが、彼女の欠席を残念がっていた。
私は、残念なんてものではない。
末代までの痛恨事であった。
実を言えば「吉野さんに似てる」は、これが初めてではない。
碁の生徒の一人が(おばちゃんだが)既にして言っている。
「せんせ、そっくりです」
「ありがと」
「せんせの方が、むしろいい男です」
「いやいや……」
これは少し“よいしょ”が過ぎるというものだ。
もう一人、小学生が言った。
「せんせ見たよー似てたよー」
「何処が似てると思った?」
「禿げてるとこ」
これはM子。
小学三年生。
生意気盛りであり、普段から小賢しいことを言う。
やはり、囲碁の生徒である。
この二人の場合、証言者として適格であるとも言い難い。
この私から、囲碁を教わっている。
そこに多少なりとも、情実がある。
さらに言えば、これには伏線がある。
私が雑談の中で、ぽつりと漏らしている。
「ニュース見た?先生に似た人、テレビに出てなかった?」
「さあ……」
「今度よく見てご覧」
「?……」
示唆を与えてしまっている。
だから、参考人程度の扱いしか出来ない。
そこへ行くと、今度の証言者は本物だ。
先入観なしに私を見、それを自発的に語っている。
裁判の証人としても、十分に通用するだろう。
* * *
見る人は見てくれている。
私は、焦ることなどなかったのだ。
まもなく、文化勲章の授与式が行われる。
吉野さんが、またテレビに映る。
来月になると、ノーベル賞の授与式もある。
私はもう、自分からは、何も言うまいと思っている。
吉野の「よ」の字、似てるの「に」の字も、
口にすまいと思っている。
但し、居酒屋には積極的に行こうと思っている。
少し酔ったくらいの方が、
皆さん、その目が冴えるということもある。
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想像しているうちが花かも……
みさきさん、
早耳ならぬ早目ですね。
もう発見されましたか……
多分載らないだろうと、多寡をくくって投稿しましたら、ひょいと載ってしまいました。
高齢運転者の皆さんからは、怨嗟の眼差しが向けられるかもしれません。
著書の似顔絵ですが、三人居る中の、中央です。
この絵では、吉野さんにあまり似ていません。
実は、そっくりの写真があるのですが、公開するわけにも行きません。
何時かお会い出来る日があれば、その時のお楽しみ……ということにしておきましょう。(笑)
2019/11/04 18:18:57
想像しています。
お会いした事がないので、ご著書の似顔絵と、吉野氏の写真を見て、想像しています。パチンと碁石を置かれる時のお顔とか、小学生を指導なさる時のお顔とか。 ああ、きっと、ブログを書きながら、こんなお顔で笑っていらっしゃるのだろうな…とか。
また、ご投書が新聞掲載されたのですね。拝見いたしました。 <(_ _)>
2019/11/04 15:40:57
ありがとうございます
喜美さん、
そうおっしゃって下さるだけで、嬉しいです。
私が文化勲章……
それはありません。
太陽が西から出ても、富士山が噴火しても、それはありません。
もっとも、それを予言すれば、貰えるかもしれません。
名づけて「噴火勲章」
2019/11/03 14:36:53
似ています
私もすぐ気がつき言いましたでしょう
にこやかで穏やかな顔 奥様も思っていますけれど 鼻高になったら大変と
思っているだけです
でも似ているのは顔だけですよ文化勲章でも頂いたら友達にも私も威張ります よろしく
2019/11/03 08:17:41
亭主を知るに妻に如かず
漫歩さん
妻は、私のやる事なすことに、ブレーキをかけるのがその使命と心得ているのです。
かつての母親と同じです。
私の性格(逸脱性)を世間の誰よりも知っている、と言う自負があるからでしょう。
まあ当分、和やかな日が続くでしょう。
本日の天候のような……
2019/11/02 14:04:16
生き証人
吾喰楽さん、
証言を求められた時は、よろしくお願いいたします。
そういえば、寿司が出ましたね。
私はつい、居酒屋と勘違いしていました。
2019/11/02 13:58:58
今が良ければそれで良し
シシーマニアさん、
長く生きていると、いろいろなことがあります。
私だって、若い頃は、散々に言われました。
「骸骨のようだ」
(痩せてがりがりだったもので)
自分の顔については、コンプレックスの塊でした。
晩年に至り、少し自信が持てるようになりました。
開き直ったのが、良かったのかもしれません。
貴女の髪は、昔は知らず、今は非常に美しいです。
他者が容易に真似できません。
これで良いのだと思います。
2019/11/02 13:56:34
人柄も似ている?
吉野彰さんの快挙は、パトさんに、嬉しさと、楽しさと、心地よさの副産物をもたらせて呉れましたね。(笑)
奥様は承知の上でご亭主をじらしたのですね。
当分続きますからお楽しみください。(笑)
2019/11/02 13:00:46
証言者
おはようございます。
証人が必要なときは、ご一報ください。
何時でも、馳せ参じて証言します。
貴兄は、吉野先生の庶民性に、山中先生の知的な風貌を加えた感じです。
ところで、打ち上げの会場は、居酒屋ではなく、寿司屋でしたよ。
2019/11/02 09:21:59
素晴らしい方に似てらして、お幸せですね
「居酒屋には積極的に行こうと思っている」
良いですねえ。そういった期待感のある積極性は・・。
私は、若いときから髪の毛がはちゃめちゃだったので、林家三平、と回りに揶揄されていた時期がありました。
そのことを、ボーイフレンドの一人に言ってみたら
「三平?僕は初めて会った時、堺正章に似てると思ったけど・・。」
どっちもどっちです。
2019/11/02 09:20:04