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パトラッシュが駆ける!

週刊文春 

2019年11月09日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

散歩コースの途中に、古本屋がある。
店頭のワゴンに、特価本が並べられてある。
これを覗かずに居られない。

「見るだけ、お前、買うんじゃないぞ」と、
我が身に言い聞かせつつ、ワゴンに近付く。
百円、二百円、高くても三百円だから、
出費を恐れるわけではない。
買い込み過ぎて、私の書庫が溢れることを危うんでいる。
読み終った。
では捨てます、ということが私には出来ない。
そうすると、書庫はじきにパンクする。
狭い囲碁サロンの中で、私の居住スペースは限られている。
本の洪水により、私の昼寝の場所がなくなる。
これが困る。

店頭には別に、週刊誌の棚もある。
古書店に週刊誌?
実は一週遅れ、二週遅れの、つまり既刊誌を売っている。
きっと、読み捨てられた週刊誌を、集めるルートがあるのであろう。
しかし、それらは昨日一昨日の新聞を読むようなもの、
新聞ならぬ旧聞の感がある。
いくら安くても、買う者は少なかろう。
と思うのだが、専用の棚があるところを見ると、
意外に売れているのかもしれない。

私はそもそも、週刊誌を買わない。
広告に釣られ、買ってはみたものの、
なあんだ……となることが多いからだ。
定価440円、これあれば、居酒屋のタイムサービスで、
生ビールが飲める。
ビールなら「なあんだ……」となった例がない。

毎週木曜日に、週刊新潮と週刊文春が発売される。
それに合わせ、両誌の広告が新聞に載る。
そこにはそれぞれ、センセーショナルな見出しが躍っている。
「政治家某が、秘書を苛めていた」
「タレント某が不倫をしていた」
などの、いわゆる暴露記事が多い。
「秋篠宮邸に響く怒号」
などの皇室関係もある。

週刊誌の評価、それは発行部数によって決められる。
売らんかな……のためには、読者の求めるものを提供せねばならない。
読者もまた、著名人の内なるものを、探り、知りたがっている。

私は、週刊誌については、広告を見るにとどめている。
見出しだけでも、おおよそのことがわかる。
なるほど、そんなことが起きていたのか……
世間の動静を、大まかながら、知ることが出来る。

 * * *

その日も私は、古書店の棚を覗いていた。
「週刊文春11月7日号」
待てよ、おかしいな……
今日は11月1日ではないか……
頭をひねって、ようやく気付いた。
週刊誌は一週先の日付で発刊されるのであった。

ということは、10月31日には発売されたことになる。
昨日の今日ではないか。
新刊書店やコンビニでも、今を盛りと売られているばずだ。
それが古書店では、古書価格で買える。
税込180円。
私は、人間が吝嗇に出来ている。
差額の260円に目がくらみ、文春を掴むや、
いそいそとカウンターへと向かった。

「法務大臣夫婦のウグイス嬢違法買収」
「進次郎の足を引っ張る『滝クリ』の金銭感覚」
「菅原一秀が秘書に『15万円取り立て状』を送っていた」
政治家がらみの記事が多い。
「雅子さまの『十二単』所作に専門家も驚いた」
皇室関係もある。

私の知らない事実も載ってはいた。
でも、あっと驚くようなことにはならない。
そうだろうな……
そんなもんであろうな……
くらいに思うのは、既にして、政治家への不信感があるからだ。
彼らは憂国の士ではない。
それどころか、むしろ自身のために政治家をやっている。
今の世に、高潔な議員など、果たして居るのであろうか。
という先入観があるからだ。

ざっと読み終り、この間20分ほど。
180円を溝に捨てた……
と言う思いが強い。
しかし、不幸中の幸いだ。
440円捨てるところを、180円で済んだ。
と思えば、そんなに腹も立たない。

 * * *

散々に貶したけれど、私とて週刊誌を全否定しているわけではない。
それどころか、他のジャーナリズムに比べ、
評価しなければならないところもある。
それは、隠された事実へと、突き進む姿勢だ。

かつて読売巨人軍に不祥事があった。
選手間で野球賭博が行われている
と報じたのが週刊文春であった。
同誌取材陣は、情報の真偽を確かめるために、
直接、疑惑の渦中の選手らに当った。
「実際のところ、どうなんですか?」
これに選手らは驚き、そして観念したらしい。
文春が嗅ぎつけたか……
こりゃもう、だめだ……
隠しおおせないと、諦めたらしい。

元読売新聞の記者であった大谷昭宏さんが、
この一件を嘆いて居た。
親会社の読売が知らないことを、週刊誌が暴いている。
それは、情けないことですよ。
新聞社も、そして記者もですよと。

大新聞が書かない。
見逃している。
そういう事実に迫って行く。
それこそがジャーナリズムの使命ではないだろうか。
大谷さんの嘆きは、もっともであった。

私もまた、同様に思う。
このところ、安倍内閣の大臣が、立て続けに辞任した。
週刊誌の報じるところが、その契機になっている。
社会の木鐸を自認する新聞が、その間、何をやっていたか。
週刊誌報道の追認ではないか。
情けない。

私も情けない。
週刊誌の報道を称えながら、その購入代金を惜しんでいる。
生ビールは飲んでも、週刊誌を買わない。
この自己矛盾を説明する術がない。
そしてまた、今日も古書店の店頭で、
ノゾキをやることになるだろう。



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いえいえ古くありません

パトラッシュさん

貴裕さん、
そういう時代がありましたね。
考えてみれば、資源の無駄を避ける意味でも、合理的であったかもしれません。

ゴミ箱を漁る、専門の人も居たようです。
小遣い稼ぎにはなったのでしょうね。

「週刊誌は見出しだけでいい」
これは多くの人の思うことです。

2019/11/09 17:43:27

古い話でごめんなさい。

さん

こんにちは。

今はあまり見かけないように思いますが?

私がまだ若い頃横浜駅西口とか、靴磨き屋さんと隣り合わせで日付がチョット過ぎた雑誌と当日の朝新聞等露店で激安販売してました。結構重宝した記憶です。

当然まだ駅のホームにごみ箱が普通にあった頃です。

新聞を読むときは週刊誌見出しは要チェックです。
ほぼ買うことは無いですが、」

話しがずれてしまってたらご勘弁下さい。

2019/11/09 16:40:48

見出しばかりで……

パトラッシュさん

漫歩さん、
買わないで正解です。
後追いで、他のメディアが次々と続報、詳報してくれますから。

羊頭狗肉に気を付けましょう。

2019/11/09 16:13:09

見世物小屋の呼び込み

漫歩さん

私も週刊誌を買いません。
その代り、見世物小屋の呼び込みのような新聞の大広告は必ず目を通します。
見出しだけで、彼らが今何事を伝えたい(煽りたい)かがわかりります。
それとテレビのニュースを見れば現在の国内外の動静は凡そ知り得ると思います。

2019/11/09 11:19:52

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