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「チャヴ」 

2017年10月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:未来はあるんでしょうか

ようやく読んだ。ハードカバーではないので見た目程重量はないが全部で400ページ弱ある本なので
寝ながら読むにはちょっと大変。

オーウェン・ジョーンズ(海と月社)の作品。
イギリスでは2011年初版だけど日本では2017年。
イギリス人の彼は、20代半ばにこの本を書きました。

「チャヴ」とはロマ語の子供を意味する「チャヴィ」から来ていて、イギリスでは、
「粗野な下流階級の人たち」「白人労働者階級の人たち」などを意味する差別用語です。

例を挙げると、公営住宅に住み、学歴もなく、仕事口といえば、スーパーで働いたり、清掃員だったり、あるいは無職、生活保護を受けたりしている一生夢も希望も見出せない連中ってところでしょうか。

イギリスといえば、階級社会ですが、以前は、上流階級、中流階級、労働者階級でしたが、
現在は、上流階級、中流階級、下流階級になってます。
もちろん中流階級や下流階級の人たちの中には労働者階級と自認する人たちも多数います。

サーチャー時代に製造業や労働組合が徹底的に破壊されたので、この労働者階級の人たちが中流階級の下位と下流階級に分かれ、「チャヴ」はその下流階級でも下の方の連中。

製造業に従事していた人たちが多い労働者階級も「熟練工」と「非熟練工」にわかれ同じ階級でも一体感はありません。収入が違いますから。

この違いを巧みに着いたのがトニー・ブレア元首相
のニュー・レイバーと言われる人たち。
つまり、労働組合の政党から脱却し中道政党を目指す人たち。

働かないのは、仕事がないのは、本人の問題で政治の問題ではない、という主張。
労働者階級を分断し、中流階級へ押し上げようとしたようです。
そこで中流階級に入れなかった連中が自己責任ということ。
こういう人たちが広義の意味で「チャヴ」と言われています。

年金受給の減額、生活保護の受給者の選別(選別はフランスの民間企業に一括委託)、受給額の減額。

日本でも問題になっている非正社員の雇用問題。

低賃金でいつでも解雇自由、さらに移民を雇えばもっと低賃金で済む、と雇用者からするとブレア、キャメロンさまさまです。
(著者は右派政党の移民排斥は間違いで、実際は
政策の問題、右派は移民問題を巧みに政治利用しているだけ、と指摘)

下流階級の暴動では、ペットボトル1本盗んだだけで、6ヶ月の実刑判決。
一方、富裕層の巨額の脱税に関しては、お咎めなし。

公営住宅、年金、生活保護など次から次に社会保障費を減らしていますが、それらにかかる実質費用より、富裕層の脱税額の方が圧倒的に巨額、著者は指摘。

著者は富裕層はますます裕福になり、貧困層はますます貧困になる原因を作ったとサーチャー、ブレア、キャメロン前首相を厳しく非難。

また、それに便乗、助長しているマスコミにも突っ込みをいれています。
特にイギリスのタブロイド紙はいい加減ですからね。日本の新聞もそうだけど。

キャメロンは典型的な上流階級で父はリッチな株仲買人、祖先にはウイリアム四世。
妻も実業家で、広大な土地を持ち、先祖にはチャールズ二世だって。

日本人から見ても別世界。
だからあんな締まらない顔しているんですね。


それにしても著者の圧倒的な取材件数には参りました。
一体何人にインタビューしたんだろう。
左派政党か政治家の支援活動をしていたらしいのでその時のデータを生かしたのかも。


日本の近未来がここにあるのかな。
近未来ではなく現実にああなっているのかな、日本も。知らないだけで。



早く死んだもの勝ちかぁ?



いつものスタバにて。



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