つれづれに

若き旅人 2 

2016年02月22日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

バスは50人の客を乗せて、オーストラリア中央部の砂漠地帯をひたすら北へ走る。北上するにつれて気温は上がり、衣服を1枚また1枚と脱いでゆく。2週間の旅も1/3を過ぎた頃、ある大きな町のキャンプ場(まるで砂漠の中の、どデカいオアシス)で1泊することに。日本のそれとはスケールが違い、集まったバスの数はゆうに50台を超えていたと思う。乗客全員がそこで野営する。いつもは夕食が終われば、たき火を囲んで話すだけだったが、今日は各バスの客の中から、歌に自信のある者を代表として1人づつ出して、のど自慢が行われるという。単調な砂漠を行く旅の中で唯一の娯楽だ。ここでは毎日こんななイベントが行われるらしく、大きな舞台まである。そして私はなんと、バスの代表選手に選ばれたのだ!一昨日のバスの中での<ハミング>が買われたらしい。1〜5位に賞品ありと聞いては、いやおうなしに士気が上がる。ところが、私は英語の歌をまるで知らない。このハンディでは到底無理と思いながらも、そこにあったギターを借りて、布施明の「霧の摩周湖」を歌った。ギターは特にやってはいなかったが、歌いながらコードを弾くくらいはできた。ただ、日本語の分かる審査員などいるわけもなく、聴衆にアピールするなんてとても・・ ところがである。あろうことか、私の歌が1位に選ばれたのだ!やっぱり歌は<世界の共通語>として、皆の心にしっかりと届いてくれていた。その夜バスの皆が賞品のワインを少しづつ分け合って「祝杯」を上げたのは言うまでもない。今になって思えば、私の「歌うたい」としての始まりばこの時であった。



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

PR





上部へ