goofpapaブログ

出島(いずしま)その4 

2017年03月12日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

(前回の続き)

今度は新幹線に乗って、仙台で仙石線に乗り換えて、それから石巻線に乗り換えて女川に着く。女川港から出島行きの定期船に乗って出島への向かう。少し、海が荒れていて船がゆれる。

もう日も傾いていたので、当時の砂利道から舗装道路に変わった道を歩いて、電話で予約してあった民宿に向かう。民宿のおばさんは、ここは連れ立ってくる釣り人しか来たことはないと言って、一人で来た私をいぶかしげに見たが、特に訳を問うことはしなかった。遠来の客だというので鮑だのウニだの海の幸いっぱいの夕食でもてなされたのを覚えている。

明くる朝、真っ先にあの二つの神社を訪れた。どちらも、ところどころ修復されていたが、以前のたたずまいを残していた。

私は、そこで手を合わせ、
(神様が)これまで、私の願いにお耳を傾けてくださり、思し召しをいただいたことに感謝し、今は妻帯して普通の暮らしを営んでいることのをご報告し、当時私が祈願したことをもう反故にしていただくように一心に祈った。
木漏れ日のさす明るい境内だった。

私はそれから坂を下りて集落を抜け港に向かった。あの懐かしい須田商店にたちよると、おかみさんが代替わりしていた。

定期船の出航まで時間があったので、あの漁港の埠頭にいくと、小学生達がライフジャケットをつけて釣りしていた。そばで新任みたいな若い女の先生が元気な声でいろいろな指示を出していた。それを、日焼けした髭面の支援者らしい漁師さん達が、数人、笑顔で見守っていた。学校の課外授業みたいなものだったのか。そこに沖から声がして、小さな漁船が港に入ってきた。船にはこれも釣竿を立てて携えた高学年らしい子ども達が乗っていて、こちらにしきりに手を振っていた。

その光景に私は、ふと涙腺が緩んだが、とても満ち足りた気持ちになった。
そして、定期船に乗り、振り返ることもなく出島を後にした。

女川港にある魚市場と物産販売所を合わせたような建物の売店で、少し訛りのある話し方をするお姉さんから、少し説明してもらい、いくつかお土産を買って駅に行き、帰りの列車に乗り込んだ。

疲れと安堵感からか、だいぶ寝入ったような気がする。

(次回に続く)



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

PR





掲載されている画像

上部へ