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goofpapaブログ
出島(いずしま)その2
2017年03月11日
テーマ:テーマ無し
(前回の続き)
私は、炎天下、出島の島内を彷徨した。
潮の匂いのする漁港、定期便の船の接岸する港と、ウミネコの舞い飛ぶ埠頭、港から続く砂利道を歩いていくと、庇がくっつくように建てられた家が並ぶ集落、そして一軒だけ存在する商店。確か「須田商店」と言った。そこでサイダーを飲んで店内を見たら、生活用品がいろいろと売っていた。
海岸から坂を上って行き、しばらく歩いたところに小学校があって、その頃はまだ敷地内に入れたので、昇降口を覗いたら、あの人と同じ姓の名前を書いた小さな上履きがいくつも並んでいた。
学校からの帰りに坂の途中にある共同の井戸があり、そこで遊んでいた少女達に教えてもらって水でのどを潤した。あの人の少女時代入は、かくありなんと思われる少女達の可愛い笑顔と朗らかな声。
それから島にある二つの神社に行った。八雲神社と出島神社。どちらも石段を上って行った高台にあった。そこで私はお参りし、この島を訪れた訳を報告し、そして、もし神様の決められたお定めがあるのなら、添わせて下さるようにお願いした。
高台の神社の木々の間から、青い海が見え、涼しい風が吹いてきて、私は座って少しまどろんだものだ。
その後の事は、よく覚えていない。女川港に引き返し、食堂の人の良さそうなおばさんに勧められてウニ丼を食べて帰路についた。
結局のところ、この恋は実る事はなく、私はその職場を離れた。
田舎育ちの純朴な私の(自分で言うのもなんだが・・・)性格に、少し陰が感じられると言われ始めたのは、この頃からだ。
誰にでもありそうな、ある若い時代の失恋話として、この件は一件落着し、遠い記憶の彼方にほうむりさられるはずだったのであるが・・・・・
(次回に続く)
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コメントありがとうございます
→みのりさん 宮城県女川町の小さな島です。
→こころここさん、すみません、これから滅入る内容になっていきます。
2017/03/12 09:54:29